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成長チートですか?

「火属性のこんぺいとうを〝クイックスロー〟っと、駄目か? 完璧に腕で防がれたな」

「ムダ……ムダァァァァァァァ!!」


 無駄だと言われてもやらない訳にはいかない。

 接近戦に持ち込まれたら、それこそ俺に勝機なんて無いからね。だからたった数秒ほどの足止めしか出来ない攻撃だったとしても……いや、数秒〝も〟足止めが出来るからこそだ。


 そしてその数秒さえあれば、ケンタウロスタイプの装備を装着した錬金人形のアルに騎乗している俺なら、鬼との距離を置くことが可能。


「アル! また一気に距離を離して!!」

「オッケーボス!」


 ……いやいや、だから君達はどこでそんなワードを学んできてるのさ。

 本当、何に影響されているのかわからないけど、俺としてはしょっちゅう話す内容とか性格的なものが変わるから、全く置いてけぼりなんだけど。



 と、まぁ……そんなよく分からない変化をみせるアル達だけど、仕事に於いては完璧と言ってもいい。


 鬼が腕に広がる火を消すためにと時間を掛けている間に、アルは一足飛びで詰められていた距離を離した。そして他の錬金人形達は鬼に対して何処からでも仕掛けられるぞ! とプレッシャーを掛けている。



 そう、俺達のやるべき事は生き残って時間を稼ぐこと。

 皆が来るまで耐えきれば、一気に俺達の火力は上がる。そうすれば、如何に鬼とてひとたまりもないはず……なんだけど。


「あの鬼、なんかどんどんパワーアップしてない?」

「モンスターを食べてましたから、それでレベルアップをしたのでは?」


 それは厄介な。いや、でもトラップルームのモンスターは既に途切れている。だけど、この鬼はその後も微妙に強くなっていっているような?


「チカラガ……チカラガガガガ、ナガレテクルゥゥゥゥゥゥ! オレ、サマ、ゼッコウチョウ!!」


 小生とは言わないのか……っと、ソレは良いとして。


 やっぱり段階的に強くなってるよね。

 現に、火属性のこんぺいとうによる攻撃だけど、最初の頃に比べて延焼時間が短くなっているように感じる。これは耐性的なものなのか、はたまたレベルアップで強化されたからなのかは分からないけど……それでも、明らかに総ダメージ量が減っているのは間違いない。


 そしてそれは、火属性のこんぺいとうだけではない。

 ネイルショットガンのネイルも、物理タイプのこんぺいとうの棘も、明らかに鬼に刺さっている数が減っている。氷属性の爆弾だって、鬼を凍結していた範囲が最初の頃に比べて3分の2ぐらいになっているんだよね。


「なんて嫌なボスだろう……戦闘中に強くなるのは正義の味方の特権じゃないの?」

「ボスには3段階変化とかがありますよ?」


 いやいや、それって変化じゃなくて変身だからね。そして、変身前に強くなるって事はないから。……まぁ、慢心して手を抜いていたボスが全力を出して強くなったように見えるとかはあるかもだけど。


 でもこの鬼の場合。そのどちらも当てはまらない。

 戦闘中に、そのままの姿で、成長するかのように徐々に力を上げてきている。


 いや、ボスが発した言葉的にだけど、ヤツは〝力が流れてくる〟と言っていた。という事は、何処からかなにかの要素で鬼をパワーアップさせる魔力的なモノがヤツに流れているのだろう。


 どこの誰だ? ボスを強化するなんて狂気的な事をしでかしているのは。


 流石にシステムさんはそんな事をしていないだろう。そもそも、コレを封じていたのはシステムさんな訳だし。

 となると、やはりバグだかウイルスだかがその効果を発揮している? もしくは、そのバグとかを送り込んできた存在が、何らかの方法でシステムさんの目を掻い潜ってボスを強化しているとか?



 どちらにしても、このままだと皆が来る前に耐えきれなくなってしまう気がする。

 さて、それならどうするか? もうさっさと切り札の1つを切ってしまうべきだろうか。……とは言え、ここで切れるカードは天使と悪魔の顕現だ。言ってしまえば俺が持つ最高火力と言ってもいい。

 しかし、そんな最高のカードを今切っても大丈夫だろうか? 皆が合流してきた後に、一気にヤツを殲滅するためにと取っておいたほうが良いのではという考えもある訳で。


 とはいえ、ソレ以外となると〝陣魔法〟となるんだけど、溜めが必要な魔法の準備している余裕なんて無い。少しでも鬼の足止めを止めると、ヤツは一気に俺との距離を縮めてくるから。


「完全に後手に回ってるなぁ……っと! やば、迎撃!!」


 鬼はこのままだと堂々巡りと思ったのか、攻撃パターンを変更して来た。


 ヤツがとった行動。それは、地面を思いっきり殴りつけたかと思うと、その反動を利用して一気に飛んでみせた。

 弾丸の様に飛んだ先に居るのは、勿論おれ……というわけではなく、どうやらヤツは先に錬金人形達を潰すことにしたらしい。


 大盾を構えて鬼の突進を受けようとする錬金人形。たしかあの人形は……。


「ガンマ! 受けるな! 避けろ!!」


 普通に考えて、アレだけの巨体による弾丸タックルを受け止めるのはかなり無理がある。ソレがたとえ、虹魔鉄で作られた錬金人形であってもだ。

 むしろ、大盾を持った人間のほうが可能性はあるだろう。なぜなら盾を所持する人間は、間違いなく〝盾術〟のスキルを所有しているから。

 しかし錬金人形達はスキルを保有していない。彼らはただただ素のスペックだけで、その槍や盾を操っている。そしてスキルが無い、それでも今まで問題が無かったのは、恐らく彼らが魔石をコアとして作られた錬金人形だからだ。


 でも、スキルが無いということは、自分よりも格上の相手と戦う為の技が使えないということ。


 だから、技を使えない錬金人形は盾をしっかりと構えていようとも、自分のスペック以上の存在の攻撃を受けてしまうと……。


「ぐ……あぁ!」


 一瞬だけ鬼の勢いを止めたかと思ったが、そんな事はなかったようで。


 鬼のタックルを受け止めたガンマは、ボーリングのピンの様にポーンと跳ね飛ばされてしまい、そのままトラップルームの壁に激突。

 そしてガンマは、コアこそ破損していないはずだが、パーツがあちらこちらへと飛び散ってしまっている状態。……うん、ガンマはここで一旦リタイアだろうか。


「やばいね。体当たりを受けたら耐えきれないよ」

「体当たりもですが、あの腕の一撃もアウトでしょう」


 それもそうか。あの体当たりの勢いを作ったのは、地面を殴りつけたあの腕だ。そんな腕で殴られようものなら……うん、一撃でダウン間違いなし。

 これは徹底的に避ける戦いをしないとダメそうだ。


「とは言え、今みたいに飛び込んでこられたら打つ手なしなんだけど……」


 あぁ、やっぱりここは、皆が合流する前にもう天使と悪魔のカードを切るしか無いかな。

 何か他の手段でヤツの足止めが出来れば良いんだけど、消耗品も有限で、既に結構な数の爆発物を使った後だし。

 このまま同じ戦いをしていると、錬金人形達が全滅なんてこともあり得る。いや、下手をしたら彼らのコアが粉砕してしまう可能性だってある訳で。


 はぁ……これ、考える余地なしか。とはいえ、天使と悪魔の顕現は時間制限がある。なので、その時間制限内に皆が来てくれる事を祈ろう。

ブックマークに評価ありがとうございます!ヾ(*´∀`*)ノ

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