第2話 名乗る(2)
「なんで俺たち、こんな朝早くから歩いてるの?今日学校だっけ?」
「レオンたら。今日はお休みの日でしょ。もう。僕はお母さんじゃないよ?」
「わかってるよ。同じ年の母さんなんていないよ。」
「そういう問題じゃないんだけど。」
ミカはため息ついてから、俺を猫じゃらしで叩いた。
「今日は、町に向かって歩いてるんでしょ。」
「いて。わかってるよ。バイトギルドでしょ。」
今日はお兄さんとバイトギルドへ行って、バイトをしてお金をゲットしようと、そういう作戦だ。
肝心のお兄さんは俺たちの後ろをキョロキョロしながら歩いている。だから、いつの間にか俺たちとだんだん離れていってしまう。
「お兄さーん。ちゃんと前向いて歩いてよー!」
「ほら。ミカはお母さんみたいだ」
クスリと俺が笑う。
「もう。みんなが、手がかかるのがいけないんだよ」
そんなことを話しているうちに、隣の町についた。
町は俺たちの村と違って道はレンガ舗装だし、何より出店が出てて賑わっている。
「美味しいオレンジだよ!」
「安くしとくよー」
そんな呼び声がそこかしこから聞こえる。
村には無い光景でいつ来てもウキウキしてしまう。
「なあ。ミカ。なんか買いたいな」
「もう。レオンたら。帰りにね。今はギルドに行かないと。
お兄さん!もう。離れちゃダメ。手を繋いであげるよ。」
「お兄さん、町は初めてなの?俺たちはたまに来てるけど。いつ来てもいいなあ。」
「ほら。レオンも。三人で手を繋がないとなの?」
結局ミカに怒られながら、俺たちはまるで散歩中の園児みたいに一列に並んで手を繋いで歩いた。
多分、今思えば迷惑な歩行者だったかもだけど、ミカの目が怒っていたから、仕方ないんだ。
バイトギルドは割とすぐに見つかった。
屋台のおじさんに聞いたら、すぐに教えてくれたし、看板が目立った。
「ここかあ。看板に掌が大きく書いてある。」
「なんか意味があるのかな?」
「おめえ達、バイトか?」
屋台の禿頭のおじさんが、看板を指差しながら教えてくれた。
「知らないのか?バイトギルドは『おたすけ屋さん』さ。だから『手を貸しますよ』ってことだぜ」
「へえええ。すごいなあ。」
感心してると、おじさんは気をよくしたのか、さらに教えてくれた。
「ほら。隣の看板は『剣と盾』だろ。あれば冒険者ギルドさ。」
「おじさん、よく知ってるねえ」
「まあ。これくらいは、な。
お。お客さん。安くしとくよ。」
おじさんは急に道ゆく人に話しかける。
「おじさんありがと」
お礼を言うと、「バイト頑張れよ」と、言って手を振ってくれた。
「じゃ。行くか」
「うん。行こう」
俺たちはバイトギルドの扉の前に立った。




