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拾ったお兄さんを就活させるけど、なぜか10歳の俺たちが保護者です  作者: 南山


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第9話 勘違い(3)

お兄さんは犬と一緒に散歩に出かけた。

お散歩コースの地図をもらい、犬に連れて行かれた。



俺たちは、ハタキと雑巾と箒で大掃除だ。


「うわ。この壺、高そう」

「値段は知らんが、祖父の代からの物だ」

「レオン、壊すなよ!バイト代じゃ、絶対足りないよ。」

「わかってるよ」


「ねえ、この写真の人、奥さん?綺麗な人だね」

暖炉の上に飾られた写真をレオンが指差す。


「ああ。もういないがな」

「亡くなったの?」


「最近な。ああ。でももう一年経つか。病気でな」

おじいさんの表情が曇った。


「でも、本当に綺麗な人だね!」

レオンが写真をマジマジと見る。


「うちの母ちゃんよりもずっと綺麗だ。」


「……そうかね?そんなふうに『綺麗だ』なんて言ってやらんかったがな」


「えっ、言わなかったの? 一回も?」


「うん……まあ、そういうことは、あまり言わんかったな」


「えー! もったいないよ。綺麗だって思ってたなら、言えばよかったのに」



ミカも同意してきた。



「そうかね?そんな酷いことかね?」


「そりゃそうだよ。父ちゃんが俺に『母ちゃんを褒めることが仲良くやるコツ』って何度も言うぜ?」


「そんなコツ、ウチでは聞かないけど……。でも、奥さんは『綺麗だ』って、言って欲しかったと思うけどな」

ミカは写真を見てからおじいさんを見た。


「ま。もう、言っても無駄さ。は、は、は。

それにしても、レオンとミカといると、わしも喋るなあ。他のバイトが来た時は何も話さなかったが。」


「いいんじゃないか?」

「話しながらやれば、掃除もすぐに終わるよ」




「なんだか賞状が飾ってある。」

ミカは発見をしたように叫んだ。


「それはわしが大学でもらった物じゃ」

「すごい!おじいさん大学の先生なの?」

ミカが大きな声を上げた。


「もう、退官したんじゃ。今は、片付けのできないおじいさんじゃな。は、は、は。」


「おじいさんは、お手伝いさんとかいないの?」

「ん?」

「だって、こんなに広いんだよ?

片付けができる人でも綺麗にしてい続けるのは大変そうだよ。」

ミカは応接間も、庭の方も、目を向けた。


「以前はいたんじゃが…」

おじいさんは言い淀んだ。



カン!カン!カン!


その時誰かが、ドアノッカーを叩いた。


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