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拾ったお兄さんを就活させるけど、なぜか10歳の俺たちが保護者です  作者: 南山


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第8話 目にする (3)

3)


本を荷台に乗せる。

木箱三つほどにもなった。

「お兄さん、力仕事ばかりでごめんよ」

「大丈夫だよ。これしき。牛乳よりも軽い」


お兄さんは笑った。

力こぶが光る。


「レオン、お兄さんみたいには筋肉、出来てないよ?」

「わかってる!言うな!」


街の図書館に着いた。

図書館は、創立されてからかなりの年月が経っているようだ。

それでも、立派な建物だった。

白い石作りで、いくつか階段を登って行く。


「俺、図書館なんて入るの初めてだ」


「僕もだよ。だって、僕たちの村は図書館なんてないじゃん。

ま、あっても、借りれないよ。

図書館って借りるのにお金かかるんでしょ?それくらい知ってるよ。」


「ただで借りれる学校の図書館でも、俺は借りないけどな」


俺とミカがそんなことを言っていた。


「え?図書館ってそんなにお金必要だったっけ?」

お兄さんが顎に手を当てて独り言をした。


「ほら、ミカ。お兄さんだって、図書館に来たことないんだぜ。

俺だけじゃないもーーーん!」


「もう!レオンたら!」



俺たちは重い箱を運びつつ、キョロキョロと歩いた。


「あれ、誰だ?」


正面に肖像画が掛けられていた。


「どっかの貴族様じゃん」


「寄付した人かなあ?」


「どっちにしてもお金持ちだな」

「金持ちって、毎日こんな綺麗な服を着てるのかな?」


「さあ。寝るときも着てたら大変だね」


「寝にくそうだな!」



絵は、灰色の髭と髪の毛と瞳を持ち、綺麗な服を着ていたおじさんだった。手にはなんか棒を持っていた。


「あれは先先代の王様だよ」

お兄さんは一目見ただけで答えた。


「よく知ってるじゃん」

「すごいね」

「……まあ。教科書に載ってた。」


「そういえば、お兄さんの髪も灰色だね」


「綺麗に整えたら、あの王様くらいかっこよくなるかもよ」


「お兄さんは今でもかっこいいんだよ!」



お兄さんは特に照れることもせず、重い本の箱を持ち直した。





事務室に着いて、挨拶する。


「ああ、ご苦労様。そこに置いて下さい。伝票はこちらへ。」

「重かったでしょう。前に自分たちで運んだら、職員みんな腰を痛めてしまって。」


口々に職員が労ってくれる。

「お茶でも飲んで下さい」

勧められるままにお茶をいただく。


ステンドグラスから差し込む光が、図書館の中を照らしていた。静かで、心地よい場所だった。



本を選んでいる人。

静かに座って読んでいる人。


何人かの人が、見えた。

図書館の利用者だ。

昼間から本を読んでいられるんだ。それだけで金持ちだ。

俺はさっさとお茶を飲んだ。


「ありがとうございました。」

「こちらこそ、ありがとうございました。」


事務室を後にした。


「ちょっと待った!俺、おしっこ!」

「トイレは事務室隣にあったよ!」

「待ってるから、行っておいで」

「うん!」


「トイレ、トイレ……」


図書館のカウンターに、何だか埃だらけで疲れた顔の男が職員に話しかけていた。



「若い男を探している……?」

「似顔絵はありますか?……そうですか」

「名前……それもハッキリ言えないんですか……。」



職員は明らかに困っているように見えた。

「ええ。何か心当たりがあったらお伝えしますね」


「……そうですか。ありがとうございました」

男は一度うつむいた。


けれど、すぐに顔を上げた。


「また何か分かったら、教えてください」


そう言って、深く頭を下げた。




「オシッコ、オシッコ。」


俺は走ってトイレに入った。


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