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拾ったお兄さんを就活させるけど、なぜか10歳の俺たちが保護者です  作者: 南山


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第6話 思い出す(3)

年長と思われる男が指示を出し始める。


「これはバケツリレー方式がいいだろう。

袋を山から出す者、そこから均等に人を配置して、荷台に載せる者、と、位置に立ってみてくれ。」


言われるままに並んで、袋運びが始まった。


袋は重かった。

持つとずしりと腰が沈む。


「これは体痛めないようにしないとだな。」

年長の男はみんなに声をかけた。


「量があるから、体を大事にしよう。ゆっくりでいい。腰を痛めないように体を使った方がいいぞ。」


「おう!」


他の男から声が上がる。


男から男へ袋を渡す。

「ほい。」



「うお!重い」

お兄さんから袋を渡された男は、思わずよろめいた。


「大丈夫ですか?」

お兄さんは袋と男を支える。


「うわああ」

バランスを崩してお兄さんも一緒に倒れた。


「いたたた」


「大丈夫か?悪いことをした」

「大丈夫ですか?」

男がが謝って、お兄さんが手を伸ばす。

男は、ハッとして目を大きくした。

男はお兄さんの手を見た。

「あ。ああ、大丈夫だ。ありがとよ」

お兄さんの手に、ゆっくりと自分のの手を乗せて立ち上がった。


その時、誰かが歌を歌い出した。


「……お日様が昇った、ホイ。働くぞ、ホイ。さあ、畑を耕すぞ、ホイ。種をまけ。……」


いつの間にかみんな歌っていた。


「何だい、お兄さん、この歌知らねんのか?」


「え、ああ。私は初めて聞きました。いい曲ですね」


「歌いやすいだろ?」


「ええ。」


お兄さんも歌を口ずさみ始めた。


「昔、よく子どもと歌ったもんだ」


男たちは声を張り上げて歌った。

陽気なガラガラ声が倉庫に響いた。






♢♢♢


②「休憩しよう!」

「おう!」


みんなで座り込んで各々休み始めた。

「疲れたああ!」

「まだ半分かあ」

そんな声が聞こえる。


袋の山は確かに小さくはなったが、まだ仕事が終わったとは言えないほど残っていた。


「お兄さんは、どこの生まれだい?」


そばにいた年長の男が話しかけた。


「え?」


「俺は港の生まれでな。子どもがもう二十歳を超えてるんだ。お兄さんを見てると、あいつのことを思い出すよ」


男は懐かしそうに目を細めた。


「昔、あいつと遊んでいたときのことだ。草まみれになった俺を、起こしてくれたんだよ。今日のお兄さんみたいにな」


年長の男は、腰を伸ばした。




「俺はさ、本当に悪い親父だったんだ。だから、仕方ないんだけど、子供に会いたくなってさ。」



「俺もだよ。こんなお兄さん見ていると、子どもを思い出すよ。置いてきちゃったからさ。」


「お前は女房も置いてきたんだろうが。」


「まあな。」


男たちは立ち上がった。



「さ。もう一仕事するか!」


汗はまだひいていない。

だが、どの目にも力が蘇っていた。


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