第6話 思い出す(1)
みんなで牛乳を届ける仕事は週末と、決まった。
レオンとミカが平日に学校があるかだ。
そして、火曜日と水曜日に牛小屋のバイトが二つ出る予定だ。
ひとつは牛乳の配達手伝い。
二つ目は牛の世話。
お兄さんの牛乳運びの力もおじさんは高く評価してくれたのだ。
だが、今日は月曜日。
「おはようございます」
ミイナさんの優しい声がお兄さんに挨拶した。
「お、おはようございます」
「今日はあんた一人かい?」
冒険者ギルドのレティが顔を出す。
「は、はい。今日はレオンもミカも学校なので……。」
「そうだな。今日は平日だもんな。だけど……。こうしてみると……。」
レティの後をミイナさんが引き継いだ。
「やっぱり十八歳に見えますわね」
レティはニヤニヤしている。
「レオンとミカは十歳だから、一緒にいると、実際よりお兄さんも子どもっぽく見えてしまうものね」
お兄さんは自分の体を見た。
薄汚れていても背格好は若者だった。
「え?ええと。有難うございます」
律儀にお兄さんはお礼を言った。
「クスクス。お兄さんはおかしいわね。でも、そんなところが良かったのかしら?あのギルがこんなに懐くなんて。」
「朝から『お兄さんはまだ来てないでござるか?』って言って、バイトを探していたのよ」
「ギルの奴、変わったな」
レティが優しい目をする。
「あいつ、スリとかする前は、弟思いで、明るい奴だったんだ。」
「そうね。弟さんの病気から、変わってしまったのよね。ギルドに来るたびに問題を起こしてたの。」
「お兄さんからお金をもらって、何か思うところができたんだろうな。
人を信頼してもいいのか、とか。」
「何にしても、私たちは嬉しいわ」
「嫌な問題ごとが起きなくなるなら大歓迎だ」
お兄さんはポリポリと頭をかいている。
「いえ。私に出来ることしか、出来ませんけど。」
「ま、それでいいのさ。」
「で、今日は何のバイトにします?」
今日はお兄さん一人でのバイトの日だ。
ミイナさんもレティもそれを知ってニコニコした。
「コレなんてどうです?」
ミイナさんが、一枚の求人票を差し出した。




