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拾ったお兄さんを就活させるけど、なぜか10歳の俺たちが保護者です  作者: 南山


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第5話 届ける(4)



「ギルの奴、ちゃんと仕事してたかなあ。おじさんが休んでいるから、サボっててもバレないからな」


「どうだろう?」



俺とミカはそんな話をして牛小屋に着いた。


「俺っち、頑張りましたよ!」


ギルはニコニコだ。

額には汗が浮かんでいる。


「まさか、真面目に働いたの?」


「え?当たり前じゃないですか!

お兄さんたちと一緒の職場ですよ?

かっこいいところを見せなくてどうするんですか。」


「え?そういうこと?」


「俺っちはマジで疲労困憊でござる。こんなに働くのは久しぶりでござる。」


「すごい。真剣だったんだね」


「今まで、いい加減にバイトしてたんだな。

まあ、色々ツッコミどころはあるけど、頑張ったんだな……」


変な感心をしつつ、俺たちは仕事依頼主のおじさんを呼んだ。




「ありがとう。大変だっただろう。」


「俺たち、ちゃんと牛乳配ってきたぜ。」


バイトギルドからの依頼書にサインをもらう。


「おじさん、『オーディー・サーン』って名前だったんだね。丘の上のおばあさんに聞きました。」

「かっこいい名前ですね」


「ああ。あのおばあさんか。

物知りでな。もうこの辺りじゃ一番の長生きだ。古いことをよく知っている。」


「物覚えいいんですね」


「俺なんて、すぐ忘れちゃう」


「レオンは特別わすれっぽいんだもの」


「俺のことはミカが色々覚えてくれているからいいだもーん。学校のこととか。」


「もう!僕はお母さんじゃないんだぞ!」


「ははは。わからなくなったら、あのおばあさんに聞けば何でも答えてくれるぞ。ただし、起きていればな」





「おじさん。俺っちも仕事したから、見てくれ!」


ギルがギルドからの依頼書にサインをねだる。

おじさんは仕事ぶりを見る前にサインをして、牛小屋に一緒に行った。


「どれどれ。大変だっただろう。一人で餌と水をやるのは」


そう言ってギルの頭を撫でた。


「俺っち、頑張ったでござる」


おじさんがギルに頼んだのは餌と水やりだった。


餌は袋に入っているけど、持ってみたら重かった。

「ギル、コレ……。一人でやったの?」


「そこにあった一輪車を借りたでござる。」


小屋の壁に立てかけてあった一輪車を指差す。


「水だって重たかっただろ?」


「小ぶりの樽があったので転がしたでござる。空だったから水を入れても怒られないと思ったでござる。」


ギルはこともなげに答えた。


それでも額の汗は流れている。


「お前、実はすげえ奴なんだな」


「機転がきくってこういう事なんだね。」


「おいおい。子どもに頼んだって、ろくに仕事なんてできないと思っていたんだ。少しでもやってくれれば助かる、って程度にな。だから、仕事ぶりも見ないでサインしたんだ」



おじさんは呆然としてた。


「それが、なんだい、これは。きちんと出来てる。とんでもない子どもだな。」


「えへへ。これで依頼の仕事は出来たでござるか?」


「お前、ここで就職しないか?」


「「え?」」

俺とミカは驚いた。


おじさんはギルの両肩を掴んだ。



「おじさんは、腰が痛くなる時がある。だから、おまえがここで働いてくれるとすごく助かる。ここに住んでもいい。」


ギルの目が揺れる。

「俺っち、……。」


「俺っち、また来て、ここで働いてもいいでござる。

でも、毎日は困るでござる。

まだ、お兄さんのそばにいたいんでござる。

弟もいるし、そのうちに両親も戻って来るでござる。」


「そうか。無理を言った。」


おじさんはがっかりした顔をした。


「でも、コレからも求人を出すから、その時には頼むぞ。お前が来てくれたら、バイト代は倍出すぞ」



「わかったでござる!」

ギルの顔がぱっと明るくなった。


「今までこんなに褒められたことないでござる。お兄さんと会ってから、俺っちはいい事だらけでござる。」


「そんな、私は何もしていない。ギルの力だよ。」

そう言って、お兄さんは微笑んだ。




「私は何も出来ない。」

よくわからないけど、そんなことを呟いていた。




「今日は食料が買えるぞ!」


俺たちはたくさんのバイト代を手にしてホクホクだった。


おじさんの牛乳と、買ったパンとウインナーでパーティをする頃にはお兄さんもいつもの顔に戻っていた。


「うまそうだなあ。昨日はパン一つだったもんな」


レティが冷やかす。

でも俺たちは負けない。


「このいい匂い!最高!」

「肉汁がたまんない!」

「働いてよかったでござる」


「よかったな。人生最高の日みたいだな」

レティが笑った。 








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