2/26
第1話 拾った (2)
「起きないね」
「仕方ない。この水筒、置いていくか。」
「じゃあ、僕は昼ごはんのパンを置いて行くよ。フランスパンは固くて食べにくいけど。起きた時に食べるものがあるといいと思う。」
「そだな」
「この人、どうしたんだろうね?
怪我してるけど。どこの人かな?」
「わかんねえ。でも、悪い人じゃなければ、助けるだけだ。」
「そだね」
水車小屋には藁が少しあったので、それを男にかけた。
夏とはいえ、水で冷えた体だ。
もし暑くなれば自分で蹴飛ばすだろう。
手のわらクズをパンパンと払う。
俺たちは男を見るのをやめた。
「一旦、学校行く?
寝てるのをただ見ててもね。」
「そうだな。放課後にまた来よう。家に帰れば羊の乳でも持って来れるさ」
「……」
「……」
「えーと。何か忘れている気がする。」
「学校!」
レオンとミカはお互いの顔を指さす。
「先生にまた怒られる!」
「急げばまだ!」
聞こえるはずがないのに、用務員さんのベルの音が聞こえた気がした。




