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社畜係長のダンジョンヒャッハー  作者: ジェロニモR


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育成方針


画面を見つめながら、佐藤は思わず苦笑いを浮かべた。


「今のスキル構成……完全に『ステータスゴリ押し』のレベリング特化型だな」


防御はポッケの硬質化頼み、攻撃は身体能力24の腕力と【身体強化】による肉弾戦。


当たり前といえば当たり前だが、バットから買い換えたメイスは打撃の威力が素直に骨に伝わり、非常に戦いやすかった。


「やっぱり武器選びって大事だな……。もっといい武器や防具があったら、さらに戦闘が楽になるんだろうか」


では、いざという時に頼れる「必殺技」のようなものは必要なのだろうか?

答えは決まっている。佐藤にとっての最終手段——切り札は、やはり**【従魔合体】**だ。


合体中に繰り出す「触手×硬質化」の伸縮鞭コンボは、スキルレベルさえ上がれば主力になり得るポテンシャルを秘めている。

さらに、【従魔合体】のテキストにあった「スキル強化による合体可能数の増加」。


果てしない道のりに見えた強化10(10,230 Pt)に比べれば、5強化(累計310 Pt)で解放される「従魔の基礎ステータス加算」は、はるかに現実的な目標だ。


「今までは1日1レベルアップだったが、合体吸収を使えば1日2レベルアップも不可能じゃない。毎日2レベル上げ続ければ、半年で310 Ptは達成できる計算だ!」


合体できる従魔が増えれば増えるほど、その基礎ステータスが自分に加算され、爆発的に強くなる。

佐藤の今後の育成方針は完全に固まった。


【佐藤の育成方針】


ジョブPt: 【身体能力】と【思考力】が同じ倍率で伸びるように調整しつつ、合体中のMP消費に加え、触手や硬質化の乱用でMPが枯渇すると継戦時間が削られるため、【MP】の倍率も上げていく。


スキルPt: まずは新たな従魔を増やすため**【従魔契約】の強化を最優先。その後はすべてのポイントを【従魔合体】の強化(目標5強化)**に注ぎ込む。


【ポッケの育成方針】


ジョブPt: とにかく【思考力】の最終ステータスが「10」に達するまで集中投資。


スキルPt: 『従魔合体』に比べれば安価な**【触手】と【硬質化】**のスキルレベルを重点的に上げていく。


方向性が決まると、次に湧き上がってきたのは「新しい従魔」への妄想だった。


「スケルトン狩りで痛感したけど、やっぱり索敵ができる従魔がいたら圧倒的に効率が上がるよな……」


広い階層を歩き回る時間を大幅に短縮できる索敵役。


それに、後ろから攻撃魔法をぶっ放してくれる後衛職の魔物も欲しい。

従魔合体すれば自分自身も魔法を使えるようになるのだから夢が広がる。

もちろん、傷を癒せる回復職も捨てがたい。


「なんなら、鍛冶ができる魔物とかいないのかな? 自分専用のカスタム武器とか作ってくれたら最高なんだけど」


やりたいこと、欲しい能力が多すぎて頭がパンクしそうだ。

だが、佐藤の顔には疲労ではなく、少年のようにイキイキとした笑顔が浮かんでいた。


「……ハハッ、大変だけど、めちゃくちゃ楽しいな」


ふと、「このまま仕事を辞めて、探索者一本で食っていけたらどれだけ幸せだろうか」という考えが頭をよぎる。


しかし、現実はそう甘くない。

本来なら最大の収入源になるはずの魔石は、すべてポッケと自分の経験値(吸収)に変換してしまっている。たまにドロップする素材アイテムを売ってはいるが、とてもそれだけで生活できるほどの収入にはなっていないのだ。


結局のところ、今まで通り会社員として働かざるを得ない。


だが、佐藤は自分の仕事に絶望しているわけではなかった。


「……まあ、今の仕事にもちゃんと誇りは持ってるしな」


自分が商品開発や製造に関わった食品がスーパーの棚に並び、それを買い物客が手に取っていく姿を見る時、佐藤は「自分も少なからず社会の役に立っている」という確かな手応えと満足感を得ていた。


「会社には扱いづらい奴が多いけど……それを教育して育てるのも俺の仕事だ」


ポッケの思考力が少しずつ上がり、指示を理解してくれるようになった時の喜び。

そう考えれば、職場の後輩である鈴木や、勝手な行動ばかりする「DIY社員」の田中も同じなのかもしれない。根気強く見守り、育てていくべき対象なのだ。


「よし……明日も仕事だし、そろそろ寝るか」


考えを綺麗にまとめた佐藤は、満足げに息を吐くと、明日の業務と夜のレベリングに備えて布団へと潜り込むのだった。


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