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社畜係長のダンジョンヒャッハー  作者: ジェロニモR


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24/27

試し打ち

休みの日ということもあり、スキルのお試しも兼ねてさっそくダンジョンへ向かうことにした。


ボロボロに曲がった愛用のバットは昨夜限界を迎えたため、まずは市役所に併設された探索者ショップへ立ち寄る。


「いらっしゃい。今日は何をお探しで?」

「一番打撃力の高そうな打撃武器(メイス)をください」


バットの振りに慣れ親しんだ佐藤は、ブレずに金属製の重厚な**【メイス(一本柄の鈍器)】**を購入。

手にしっくりと馴染む重みに口元が緩む。

ダンジョン第一層へ入ると、まずはポッケの新スキルの検証を開始した。


「よし、ポッケ。『変体』使ってみろ」

《ぷる〜!》


ポッケがぐにゃりと形を変えていく。だが、スキルレベル1の段階では「頑張って人間に化けようとしている何がなんだかわからない物体」にしかならなかった。非常にシュールである。


「う、うーん……じゃあ次はバットの形になれるか?」

《ぷるんっ》


ニュッと細長く伸び、金属バットのような形状に変化した。しかし【硬質化】を組み合わせないとただのぐにゃぐにゃなゼリー状。さらに【硬質化】を重ねがけしてようやく「鉄パイプ並みの固さ」になったのだが……。


「……痛そうだな、これ」


胸元で一生懸命バットの形を保ちながら《ぷる……ぷる……》と耐えているポッケ。

いまや完全に愛着の湧いた「家族」のような存在だ。これでゴブリンをぶん殴ったらポッケが痛そうで、精神的にとても使えたものではなかった。速攻で却下である。



続いて**【収納】**の検証。


……ここで佐藤は自分が大バカだったことに気づいた。


(あ……魔石って全部ポッケに『吸収』させて経験値にしてるから、保管する魔石なんてねぇじゃん……!)


ドロップアイテムについても、10体に1体ほど素材が落ちる程度なので、普通に自分のリュックに入れれば事足りてしまう。


「ま、まぁ……容量はMP依存だし、今後階層が深くなって荷物が増えたら役に立つだろ……!」


と自分に言い聞かせる佐藤であった。


最後は強化1(コスト1 Pt)を施した**【触手(レベル2)】**。


長さがぐんと伸び、動きも初期のペチペチ叩くだけの段階から明らかに滑らかになった。落とした魔石を「ひょい」と摘んで拾い上げられるようになり、


「おお、これは魔石拾いにめちゃくちゃ便利だな!」


と、地味ながら確かな実用性に納得したのだった。



そして、最後はいよいよ大本命**【従魔合体】**の発動だ。


「行くぞ、ポッケ! 『従魔合体』!」

《ぷる〜〜っ!》


胸元に張り付いていたポッケが光を放ちながら佐藤の胸肉へと融け込んでいく。

皮膚の表面に青い魔力の紋様が浮かび上がり、胸の中央にポッケの『核』がクリスタルのように鎮座した。見た目もわずかに変化し、全身に満ち溢れる魔力と一体感を感じる。


合体中はポッケのスキルが使い放題だ。

佐藤は伸びた触手を腕の延長として展開し、そこへ【硬質化】を重ねがけした。


バシィィィンッ!!!


触手が硬質な強靭な「鞭」と化し、洞窟の岩肌を勢いよく弾き飛ばす。


「おおっ! 鞭みたいな使い方ができるな! ただ……まだスキルレベルが低くて連続で使うのは取り回しが難しいか」


だが、真の目的はそこではなかった。

佐藤は倒したスライムの魔石を拾い上げ、合体状態のまま【吸収】を発動してみたのだ。


(頼むぞ……合体中なら、主人の俺にも『吸収』の経験値が入るはずだ……!)


ゴクリと魔石が胸の核へ吸い込まれ、分解されていく。

次の瞬間、脳内に心地よいシステム音が響き渡った。


【合体吸収適用】

魔石を分解・吸収しました。


佐藤健一: 追加経験値 +1 EXP を獲得!


ポッケ: 追加経験値 +1 EXP を獲得!


「よっしゃああああああっ!!!」



佐藤はガッツポーズを決めた。

本来は従魔(ポッケ)にしかなかった『吸収による追加経験値』が、合体状態を経由することで**【佐藤自身にも100%還元される】**ことが証明されたのだ!

ゴブリンなら、討伐3 EXP + 合体吸収3 EXP = 1体で6 EXPが佐藤にも入る。


「神スキルだ……! これで俺のレベリングも一気に爆速化するぞ!!」


(……必要ポイント数のあまりの多さに絶望しかけたが、基本機能だけでも元が取れすぎるほどお釣りが来るな……!)


歓喜に打ち震えながら、佐藤はふと我に返った。


(……あれ? 俺、最初は社畜のストレス解消でダンジョンに来てたはずなのに、最近完全に『レベリング中毒』になってないか……?)


まあいいか、強くなるのは楽しいのだから。

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