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社畜係長のダンジョンヒャッハー  作者: ジェロニモR


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23/27

ロマンと無理ゲー

激闘の翌朝。

休日の開放感に包まれながら、佐藤は自室でコーヒーを片手にステータス画面を開いていた。


溜まりに溜まったスキルポイントは、

佐藤が**【10 Pt】、ポッケも【10 Pt】**。


「さて、ポッケ。スキルをドカンと取得するぞ!」


佐藤が狙いを定めたのは、習得一覧の中でひときわ目を引く大物スキル——**【従魔合体】(10 Pt)**だった。


なぜこれを選んだかと言えば理由は単純。「消費ポイントが10 Ptと明らかに多くて強そうだったから」である。手探り状態の初期段階において、高コストなスキルにはロマンが詰まっている。実は魔物使い(従魔契約)のジョブを得た時から、密かに狙っていたスキルでもあった。

ボタンを押した瞬間、隠されていた詳細テキストが解禁された。


【スキル:従魔合体】

従魔と肉体を同化・合体させる。


効果: 合体中、従魔が所持する全てのスキルを主人が使用可能となる。

コスト: 1分経過につき【MP 1】を消費。MPが0になるか、任意で解除可能。


強化拡張:

スキル強化により「消費効率向上」および「合体可能数の増加」。


【5強化達成】: 従魔の『基礎ステータス』を主人の基礎ステータスに加算(加算後の値に主人のジョブ倍率が乗算される)。

【10強化達成】: 従魔の『最終ステータス』をそのまま主人の最終ステータスに加算。


「なっ……ステータスが加算されるだと……!?」


最初はポッケの低い数値を上書きする程度かと思っていた佐藤だが、加算されるとなれば話は別だ。ポッケの成長がそのまま自分自身の能力値の「底上げ」に直結する破格の能力だった。

しかし——喜んだのも束の間、佐藤はスキルの「強化ルール」に気づいて顔を青ざめさせた。


【スキル強化コストの法則】


スキル強化コストのスキル強化レベル1に必要なPt = 「元スキルの取得消費Pt」

以降、次のレベルに上げるためのPtは**「前回の強化で使用したPtの2倍」**を消費する(等倍ねずみ算)。

つまり、初期スキルであるポッケの『触手(取得1 Pt)』であれば——

強化1:1 Pt

強化2:2Pt

強化3:4Pt

強化4:8Pt……と倍々に増えていく。


では、元々の取得に**【10 Pt】**もかかった『従魔合体』はどうなるか。

強化1: 10 Pt

強化2:20Pt

強化3:40Pt

強化4:80Pt

強化5: 160 Pt

強化6:320Pt

強化7:640Pt

強化8:1280Pt

強化9: 2560 Pt

強化10:5120Pt


「…………は?」



計算した佐藤の指がピタリと止まる。


強化5達成(基礎ステータス加算)までに必要なポイントの累計は310 Pt。


そして魅惑の強化10達成(最終ステータス加算)に至っては、累計で10,230 Pt……!!


1レベル上がるごとに1 Ptしか貰えない世界線で、1万ポイント。


「……無理ゲーだろこれ……」



桁の狂ったねずみ算に、佐藤は頭を抱えて暗遠たる気持ちで途方に暮れた。強化10のロマンは魅力的すぎるが、果てしなさすぎる道のりに眩暈がしてくる。

とりあえず今は『取得(10 Pt)』できただけでも良しとするほかなかった。

気を取り直し、残りのポイントでポッケのスキルも取得していく。


1. 【収納】(5 Pt): 擬似アイテムボックス(MP 1につき1個収納)。

2. 【変体】(3 Pt): ゼラチン質の形状を変化させる。

3. 【触手(スキル強化1)】(1 Pt): 初期スキル『触手』をレベル2へと強化させた。


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