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社畜係長のダンジョンヒャッハー  作者: ジェロニモR


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17/27

スライムって無限の可能性を秘めてるよね?

「せっかく契約したんだ。何かしらの使い道はあるはずだ……」


市役所地下のダンジョン第一層。佐藤は足元でぷるぷると揺れる青い物体——従魔スライムを見つめながら呟いた。


Web小説やライトノベルの世界において、スライムというモンスターは「最弱」でありながら「成長すれば最強」「相手の能力を奪うチート存在」として描かれることが多い。


(そうだ、ラノベのスライムは万能なんだ! 酸を吐いたり、巨大化したり……何より『あの能力』があるはずだ!)


期待に胸を膨らませた佐藤は、従魔のステータス画面とスキル一覧を操作した。従魔契約を結んだ魔物は、主人である探索者がステータス確認やスキルポイント割り振りを管理できるのだ。


「えーっと、スライムの初期スキルは……【触手】か。よし、スライム! 『触手』使ってみろ!」


佐藤が指示を出すと、スライムの表面がぐにゃりと歪み、人の手ほどの太さの透明な触手が1本、ニュッと伸びてきた。

そして——。


ペシン……ペシン……


触手は地面を、力無くゆるーく叩いた。


「……使えねぇ」


佐藤は思わず額を押さえた。

【身体能力: 1】という絶望的なステータスのせいで、叩く威力は赤ん坊の手加減以下。それどころか移動時も触手を足代わりに引っ掛け、ズリ……ズリ……と牛歩のごとき遅さで這うしかない。あまりにもクソ遅い。


あまりのポンコツぶりに頭を痛めつつも、佐藤は従魔画面に表示される生態データに目を通した。


【生態解説:スライム】

スライムの本質は中心部に存在する【核】である。周囲のゼラチン質は高濃度魔力によって形成された「外骨格(魔力体)」に過ぎない。

生物というより「魔力そのものに意思が宿った存在」であり、種族特性として【MP】の倍率が極めて高く、【身体能力】の倍率は極端に低い。


「なるほど……身も蓋もない言い方をすれば『魔力の塊』か。だから物理攻撃が決定的に向いてないわけだ」


色々と検証を重ねた結果、佐藤は切ない結論に達した。


「うん、直近の戦闘には一切役に立たないな!」


だが、見捨てるわけにはいかない。

主人が敵を撃破した際、従魔にも「経験値の分配」が行われてレベルアップする仕様になっている。


「よし、スライム。お前、俺の体に張り付け」

《ぷる?》


佐藤の指示に従い、スライムはぐにゃりと伸びて佐藤の作業服(※新調した『皮の胸当て』の上)へペタリと張り付いた。

胸元に青いゼリー状のブローチがついたような、何ともシュールな格好である。


「よし、第2層へ行くぞ!パワーレベリングだ!」

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