ジョブポイントとスキルポイント
「ふぅ……今日もいい仕事(ストレス発散)をしたな」
会社帰りの『ちょっとだけ』のつもりだったゴブリンダンジョン通いは、いつしか佐藤の日常における不可欠なルーティンとなっていた。
昼間はクソ上司と身勝手な部下に挟まれて胃を痛め、夜になればバット片手にダンジョンへ飛び込んでゴブリンをぶちのめす。
連日の「ゴブリンヒャッハー」のおかげで、佐藤のレベルはいつの間にか【レベル5】へと上がっていた。
「レベルが上がると……【ジョブポイント】と【スキルポイント】がもらえるのか」
自室のベッドの上で、佐藤は青く輝くステータス画面を真剣に見つめた。
レベルアップ: 経験値を100獲得でレベルが1上がる。
レベルが1上がるごとに「ジョブポイント」と「スキルポイント」がそれぞれ1ずつ手に入る。
ジョブポイント: 1ポイントでジョブの倍率数値を任意で「+0.1」上昇させることができる。レベル5到達時点(4ポイント獲得)で、合計「+0.4」分の補正が可能。
スキルポイント: スキルの新規習得や強化に使用する。スキルの強化に必要なポイントは、段階ごとに倍々に増えていく
(例:1 Pt ➔ 2 Pt ➔ 4 Pt ➔ 8 Pt…… / 10 Ptのスキルの場合 ➔ 10 Pt ➔ 20 Pt ➔ 40 Pt……)
佐藤は現在4ポイント貯まっているジョブポイントを、一切の迷いなく**【身体能力】**に全て注ぎ込んだ。
すると、目の前のホログラムウィンドウの数値が光を放ち、書き換わっていく。
【佐藤健一】 レベル5 / ジョブ: 魔物使い
HP: 7 (10 × 0.7)
MP: 12 (10 × 1.2)
身体能力: 13 (12 × 1.1)
免疫: 6 (5 × 1.2)
思考力: 14 (12 × 1.2)
「……おおっ!?」
これによって、魔物使いの不満要素だった身体能力のマイナス補正(×0.7)が消え去り、元の肉体強度(12)を超える13(計算上の13.2から端数切り下げ)へと向上した。
立ち上がった瞬間、佐藤は思わず声をあげた。
身体に纏わりついていた重苦しい鉛のようなだるさが消え去り、驚くほど身軽になっている。ジョブ獲得前よりも身体が思い通りに動き、力強く地を踏みしめられる感覚があった。
「マイナス補正が消えるだけでこんなに違うのか! これでバットのスイングスピードも格段に上がるぞ……!」
続いて、現在5ポイント貯まっている【スキルポイント】の画面を開く。
そこには、果てしないスキルツリーが広がっていた。
【スキル習得一覧(一部抜粋)】
【魔物使い用スキル】
魔物言語理解 (1 Pt) / 従魔強化 (1 Pt) / 念話 (1 Pt) / 従魔間共有 (1 Pt) / 従魔合体 (10 Pt)
【魔法系スキル】
火魔法 (2 Pt) / 水魔法 (2 Pt) / 風魔法 (2 Pt) / 土魔法 (2 Pt) / 回復魔法 (10Pt)
【身体強化系】
身体強化(3Pt)
【永続強化(ステータス基礎値UP)系】
HP / MP / 身体能力 / 免疫 / 思考力 (各 10 Pt)
【特殊系】
アイテムボックス(15Pt)
様々なスキルが羅列されている。
全てを見ようと思ったら普通に1日かかりそうだ。
(アイテムボックス15ポイントか……! 喉から手が出るほど欲しいが、今のポイントじゃ全然足りないな)
魅力的なスキルが山ほどあり、どれを取るべきか佐藤の悩みが深まる。
(そもそも、俺のダンジョン探索はあくまで「趣味」であり「ストレス解消」だ。なら、スキルポイントも全部【身体能力】の強化に突っ込んで、フルスイングの爽快感を極めるのが正解か?……いや、せっかく『魔物使い』になったんだから、魔物使い特有のスキルを伸ばした方が普通に強そうでもあるな……)
うーむと唸り、結局佐藤はポイントを使うのをやめた。
(もったいないし、悩むくらいなら今はポイントを温存しておこう。新規スキルを取る前に、まずは初期スキルとして持っている**【従魔契約】**がどんなものか、試してみるのが先決だな)




