↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜係長のダンジョンヒャッハー  作者: ジェロニモR


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/27

市役所ダンジョンへ

市役所の地下特別口へ向かう。重厚なセキュリティゲートにスマホをかざすと、ピッと電子音が鳴った。


『佐藤健一様、入ダンを確認しました。ご安全に』


階段を下りていくと、そこには人工的な照明と、磨かれた岩肌が広がる広大な洞窟空間——地球産ダンジョンの第一層があった。


「ここが地球産のダンジョンか……。空気が澄んでいて、環境整備が行き届いているな」


管理されている地球産ダンジョンだけあって、通路は広く、足場も整っている。佐藤は肩からバットのカバーを外し、握り心地を確かめた。


『ぶにゅ〜……』


前方から、奇妙な水音が聞こえてきた。

現れたのは、淡い青色に濁ったゼラチン質のアメーバ状の生物——スライムだ。体長は五十センチほどで、半透明の体の中央に、赤く輝く親指大の「核」が浮遊している。


「なるほど、講習で聞いた通り第一層はスライムか」


佐藤はバットをじりじりと構えた。スライムがゆっくりとこちらへ這い寄ってくる。


「ふっ!」


べちんッ!!


高精度に計算されたスイングが、スライムの体を正確に捉えた。バットの芯が半透明な体を突き抜け、内部の赤い「核」を見事に粉砕する。


『ぶにゅっ……!?』


核を失ったスライムは一瞬で崩れ去り、青い液体は光となって消滅した。後に残されたのは、小さな濁った魔石がひとつだけだった。


「……うーん」


佐藤は足元の魔石を拾い上げ、バットを見つめて首をひねった。


「倒せる……難なく倒せるんだが……」


手に残る感触は、ただの「ぷにぷに」「べちゃべちゃ」だ。

あの夜、理不尽な上司や無能な部下の顔を重ねたゴブリンを、硬質バットで「ドゴォッ!」と完璧なミート音と共にぶちのめした時の、全身を突き抜ける脳汁の噴出(ヒャッハー)がない。


「物足りない……圧倒的に爽快感が足りない……!」


ぷにぷに弾けるスライムを数匹倒しながら、佐藤は深々と溜め息をついた。

彼が求めているのは、過酷な会社生活で溜まりに溜まった怨念を叩きつける「骨のある相手」なのだ。


(地球産ダンジョンの深層に行けばゴブリンがいるらしいが……初心者指定のここではスライムばかりか。やっぱりあの『侵略型』の殺伐とした空気と、キーキーうるさい緑の奴らが恋しいな……)


安全第一を誓ったはずの佐藤の中で、どこか歪んだ「ゴブリン狩りへの渇望」が静かに頭をもたげ始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。