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救命と、狂気

龍の左腕からどくどくと血が流れ出している。

まず、失血死しないよう傷口の少し上を俺の学ランで強く押し付ける。

押し付けてから10分は経つが、傷口からはまだ血が流れている。圧迫ができていないのだ。

クソ。どうにかならないのか。

次の瞬間。

「ジュッ」

真菜が迷うことなく、火のついた木材を傷口に押し付けた。

すでに気を失っている龍から短いうめき声が漏れる。

周りが唖然(あぜん)とする中、水を物資の入っていた箱から

取り出し、ぶっかけた。

「これで、失血は、しない。」

そう、真菜は一瞬で今できる最善の判断を下し、実行したのだ。

なお、広範囲に火傷をもたらすので普通ならやるべきではない。

だが、これで今すぐ死ぬということはなくなった。

しかし。

「アンタ、なにしてんの?これ以上ひどい目に合わせて、可哀想と思わないの?」

先程の、知識がなければ死体蹴りのように映る行為は、”敵”を作るのに十分だった。

「いや、これが今できることだ。」「ああ。」「このあとが大変だけど。」

俺や優達、ある種のヲタであることから理解がある者が弁明するが、

普段あまり声を出さないヤツらばかりなので非難の嵐には及ばない。

「だいたいアンタ気味悪いのよ!」「大体、お前担任の話聞いてたし、黒幕なんだろ!」

ついに真菜個人の悪口や確実に違うデマが出てきた。

だいたい、成績は中の下だし、暗いから教師が苦手とするタイプだ。

「まあまあ、真菜はきっとそれが正しいと思ってやったと思うんだ。血も止まったし、

皆もそう邪険にせず、接してやてくれ。」

榊原委員長ktkrマジ神。ちょっと上から目線だけど。

助けてくれたし、勇気ないし、突っかかるのはやめよう。

それにしてもよく通る声だ。羨ましい。

「そ、そうだよ!真菜ちゃんの意見も聞いてないし、勝手に決めつけるのはよくない!」

援護射撃サンキュー、萌葱。そうそう、そのとおり。

続々とやめよう的な声が上がる。

一部、最初にいちゃもんを付けた鳩町真琳とその一派と、

未だ呆然とする元山亜美を除いて。

*

どうして、こうなった?

元山亜美は考える。

誰のせいだ?

私は、悪くない。亜子も、悪くない。そうだ!

悪いのは、あのおんな!まな、霜野真菜(しものまな)だ!

誰かが言っていた。あいつが、てびきした。

新川龍。アイツも、共犯だ。

あいつがいきてるから、亜子は、死んだのだ。

穂部敦志。共犯、だろうか。

真菜と一緒にいるし、亜子が襲われたときも起きていたはずだ。

あの悲鳴で起きた時、あいつは寝ぼけ眼じゃなかった。

まっててね、亜子。亜美が敵、取ってあげるから。

まずは、元凶。霜野真菜。

亜子みたいに、助けなんて呼ばせない。殺してやる。

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