2日目、そして
飯を腹に入れた俺達は、また探索を開始した。
やっぱガレキだらけでさっきみたいな幸運あるわけないよね―というムードになりつつも、
俺は真面目に食料はじめ役に立ちそうなものを探していく。
とはいえ、緊張状態から脱したからか、
一軍でギャルの鳩町真琳なんかはサボって
己の爪についているゴテゴテとしたマニキュアとビーズを触っている。
どうせしばらくしたら取れるのだから、少しは生きる努力をしたらどうだ?
その後は特に目立った成果もなく、やっぱり大気汚染か、素でこうなのか
真っ青な太陽が沈んできたところで今日の探索をやめ、
一日目と同じように教室を整えていく。
だ☆が!しかーし!!今日は一味違うのである。
そう!飯!元気の源!唯一の楽しみ!
まさか今日もびっくり味なわけないよな。ふむ、サルミアッキ味?
なんですかサルミアッキって。
以前ならカシャって検索だが、今は己で判断するしかない。パックっと一口。
...なんだ?これ。強い塩味、甘み、そしてアンモニアのツンとした刺激臭が混ざり合った、
なんとも言えない味である。隣りにいた陽太が、親切?に教えてくれる。
「サルミアッキ?ああ、塩化アンモニウムぶち込んで作る世界一まずい飴のことな。
こっちにもあるのか。ちなみに俺は豚骨ラーメン味だぜ。うめえ。」
テメーちょっとこっちにも分けろ。くじで決めただろと正論パンチが飛ぶ。
うるせー!豚骨ラーメンよこせトン―!
十数分後。
皆が食い終わり、就寝しだす。
「おやすみ〜亜美」「おやすみー亜子」
双子の元山亜子、亜美姉妹が挨拶を交わし、眠りに落ちる。眼福である。
あくび一つし、横になる。明日はなにか良い発見があるといいのだが。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
深夜。今までのことで耳がかなり鋭くなっていた俺は小さな甲高い声で目を覚ました。
誰かさては女子にイタズラしようとしたな?ル◯ンダイブしようとしたな?
茶化してやろうと悲鳴が上がった方を見る。
先程まで妹と仲良く会話していた、亜子の上に誰かが馬乗りになっている。
同じく目を覚ました地獄耳こと新川龍がチャチャを入れる。
「おい、やめとけ?そいつ平田の彼女だぞ?お前死ぬぞ?」
その警告にきた返事は、
「ウゥゥゥ...」
という低い唸り声だった。刹那。龍にそいつが飛びかかる。
「ガッ!」
短い声。
「あ゛ぁぁぁぁぁーー痛え!痛え?いてえいてえいてえ…」
龍に悲鳴を挙げさせた。何事かと皆が起き出す。
真菜がかろうじて充電のあるスマホを操作し、奴を照らす。
人ではない。野犬だ。多くないか?
口をべっとりと血で濡らし、威嚇なのだろうか低い唸り声を出す。
どうやら俺達を昼間襲ってくれやがったやつと同系統らしい。
ビビビビビビビビビビビビ!
どこからともなく、爆音で音が流れる。
野犬が一歩、二歩と後退り、そして。
逃げた。遁走という字のように逃げた。
しかしなぜ…
答えは簡単だった。真菜がスマホの防犯機能を活用し、防犯ブザーを鳴らしたのだ。
まさに救世主。
それは置いておいて。まず第一は亜子と龍だ。
龍の左腕は、肘から先がなくなっていた。
亜子は、喉笛を噛みちぎられたのだろう。目を見開いて固まっていた。
「亜子、助かるよね?龍より出血少ないもんね、今は気絶してるだけだよね。
亜美にはわかるもん」
そんな一人の姉の願いは叶うことはない。
喉笛とは、人体の急所。そこを攻撃されれば、等しく死に至る。
もうすでに死んでいるはずだ。
俺は亜子から離れ、龍の方に行く。
助けられるなら、助けなくては。




