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一番切れると怖いのは

2話。

「おい、コラ、おきなよ!」

そんな声で意識を再び掴んだ。しばらく目をしばたいてから声の主を確認する。女子小学生ぐらいの幼い顔立ちに、ラウンドショートにした淡い茶髪。幼馴染の 上松 萌葱(もえぎ)だった。彼女は状況をできるだけ簡潔にまとめて伝えてくれた。

「いい、まず君以外は全員すぐ目を覚ました。私は榊田(さかきだ)委員長の頼みでまだ寝てるノロマを起こしてたんだ。今は、陸上部の脳筋中心に男子たちが外を探索してる。不良たちは勝手にどっかに行った。というわけだ、今教室にいるのはぐちゃぐちゃになった教室を片付けて、要る物を整理している女子と君くらいなんだ。わかったら、とっとと探索に参加したほうがいいぞ。」

ノロマはないだろ。こっちだって好きでぶっ倒れていたわけじゃないんだ。ただ、反論しても勝てるわけがないので、逃げ出すように外へでた。教室の閉じられたカーテンの隙間からも少し見えていた光景ではあったがそれ是も呆然とせざるを得なかった。なぜなら辺りは倒壊した住宅街やら、折れた電柱と爆発痕やら、瓦礫と弾痕に血痕やらで、まさにTHE終末世界の中に元々廊下や外壁に面していた面以外は鉄コン剥き出しで存在しているというある意味シュールな絵ヅラだったからである。だが、これは紛れもない現実であり、昨日まで背景の一部だった人間によって引き起こされたのだ。

「クソッ」

俺が今ソイツにできるのはただ恨むことだけだった。

不意に肩を叩かれ、振り返ると

陸上部の脳筋君一号こと、平田拳太(けんた)だった。陽キャの脳筋ってあまり関わりたくないなぁと思いつつ応じる。

「何突っ立てるんだ、探索手伝いをしろ!何だ仲間がいないのか!心配するな!いつも一緒にいる水池と糸井はあっちだぞ!連れっててやる!」(大声)

なぜだろう、普段なら常に大声+頼んでもいないことをされるという点において嫌いな人間なのに、今は輝いて見える。20分ほど歩くと、2人分の人影‐水池優と糸井陽太に他ならないがガレキに登ったり、はたまたそれを取り除こうと苦心したりしていた。陽太がどうやら気がついたようで、こちらに手を振りながら近づいてきた。平田はいつの間にか帰っていた。

「よぅ、敦。手伝ってくれんのか?それとも人間観察しに来たのか?後者ならガレキどけるの手伝え。」

そんなシュミないし、どっちにしろ手伝わなきゃいけないじゃないか。

「手伝いに来たんだよ、どうだ?なにか役に立ちそうなもの見つけたか?」

少しでも使えるものがあったらいいのにという淡い期待は、

「いや、ないな」

みごとに崩れた。

「ただ、廃材はあったぞ。むしろそれしかないがな。」

ナイスな事実だ。

「な、めちゃくちゃありがてえよ!大きさはどのくらいだ?材質は?」

廃材は字面以上にいろいろなところで使えるのだ。木材は燃料に、金属板は補強や塀やら武器やらが作れる

「木材もナゾ金属でできたやつも素材も大きさもバラバラでそこら辺に落ちてるよ」

これは嬉しい誤算だ。木材は小さいもの、金属板はでかいものをとにかく集めてくれと伝えると、すぐ意味を理解し、優に伝えに行ってくれた。さすが陽太。略してさす陽。廃材以外にもなにかないかと探していると、近くから悲鳴と乾いた花火のような音が聞こえた。なにごとだろう。


現場は元住宅二つ分隣の開けた場所だった。

人だかりができている。輪の中心には腕から血を流しうずくまっているやつと、手に細長いものを持って荒い息をしている二人の人物がいた。流血している方はヤンキーで、確か伊部というやつだった。今は周りの奴らに「とっとと助けろ」だの「アイツをなんとかしろ」だの叫んでいる。もう片方はヲタで、佐島だった。今は異常に落ち着いている。と、かけつけた榊田委員長が

「佐島、それ銃だろ、オマエそれで何をした?」

鋭く尋ねる。水池が何か伝えていたがあれは銃だったのか。

「勇気のある発言だな榊田。そうだよ。こいつこんな世界に来てまで俺のこと使い走りにするんだからよ、挙句の果てに俺が見つけたものを奪おうとするから。ついな。」

開き直ったのだろうか、佐島はいたって平静に話す。榊田が平田に何か耳打ちした。榊田がまっすぐ歩き出す。平田が後ろにこっそりと回っていく。勝負は一瞬だった。佐島が榊田に銃を向けようとした途端、平田が背後から取り押さえた。周りにいた奴らもそれに加わる。

「まだ油断するな!」

水池が注意を促す。だが、その注意は機能しなかった。佐島がイタチの最後っ屁というやつだろうか、一発の弾丸を送り出した。その弾はへたり込んでいる伊部の胸に吸い込まれていった。

「はははははははあはっはははっははは」

佐島の笑い声。伊部は絶命していた。

ひとまず佐島を半分崩壊していた民家の一室に閉じ込め、俺たちは教室に戻って一人の死と使えるものがあるということを報告することにした。悪夢なんだと言い聞かせたくなるほど、疲れていた。

続くはずです。やる気があれば。

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