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お泊まり会って小さい頃あったよね

俺達はひとまず佐島を拘束し、半壊した民家の元はモダンな和洋折衷(せっちゅう)の寝室であったであろう部屋に放り込んだ。唯一の脱走経路になりうる割れて空が見える窓からは彼の身長の2倍程高く離れている。拘束されてから拘禁されるまで抵抗どころか罵声すら浴びせなかった彼にそこまですべきか疑問であったが、念には念をというのが榊田(さかきだ)の指示だった。

報告と相談を女子達としなければいけないし、何より肉体的にも、精神的にも疲れ果てていた。そんな理由で俺達は佐島一人にして教室へ戻ってしまったのである。

行くときよりも一キロも2キロも多く歩いたような気がした。やっとの思いで教室の扉を開けると、

「どうしたの」「大丈夫?」

など、外の様子についてより、俺達の(無論メインは一軍のヤツらに向けられていたが)安否に関する質問が飛んできた。当然だ。みんな生気のない真っ青な顔をしていたし、

「これは夢だこれは夢だこれは夢だこれは夢だこれは夢だこれはゆめだこれはゆめだこれはゆめ」

などブツブツ呟いていたり、今にも叫びだしそうなくらい口を開けて不自然に固まっているやつも少なくないからである。まともに口が働きそうなのは現実感がいまだ湧いていない俺と遅れてきたため直接見ていない陽太ぐらいだろう。

俺と陽太があったことをありのままに話すと、みんな顔をしかめたり青ざめさせた。そのうち何処かからすすり泣きが聞こえてきて、すぐに泣き声の大合唱になった。状況がわかってきたのもあって俺もこらえきれず涙を流した。そんな状況でも萌葱は、

「大変、だったんだ。私達の、方では、ネットは、圏外だったのと、教科書は、もう使わないだろうから、捨てるって、ことに決まったんだ。」

しゃくりあげならも現状を伝えてくれた。

みんな泣きつかれたのか一息ついた時、突然委員長が、

「皆!井部のことで色々胸中に整理がついていないと思う。俺だってそうだ。でも、もう夜になる。地球から人類が絶滅したなら地球温暖化は止まっているし、現に外ははた寒い。夜になると気温も下がる。このままだと危険だ。急いで今日の夜を越す準備をすべきだ。」

そう発言した。確かにそうだ。このあたりの地面は砂漠化していたから、夜には気温がぐんと下がるだろう。

「俺も賛成。」

賛成すべきだ、委員長の言葉には。言い分も正しいし、何よりロールプレイングのキャラのように後ろについてコマンドを実行するだけでいいので楽なのだから。クラスメイト達からも賛同の声が上がる。

「火起こし班と寝具班に分かれてくれ。」

おっと、次の指示だ。どっちもきつい仕事だが、なんとなくで寝具班を選ぶことにした。ちなみに火起こし班で面識あるヤツだと、陽太や、何を考えているのか全くわからないことに定評のある霜野 真菜(しもの まな)がいるようだ。同じ班になった優が

「とりあえずカーテンで布団作って全員で雑魚寝で合ってるか敦志?」

実は俺、サバイバルヲタと呼ばれる人類である。

「うーん、雑魚寝は危険かもな。机をベッド代わりにして、何人かで固まりつつ、火を背中向きで囲むのがベストだな。」

雑魚寝は冷気がそのまま伝わってくる。何人かで囲めば人の熱もあって更に温かい。背中向きで囲めば、火が消えたときすぐ寒くなるから気づくことができる。

「オッケ、そういうふうにするわ。」

そういうと優は周りのヤツらに指示をテキパキ出していく。やっぱり有能オブ有能。

一つ思い出したことがあり、火起こし班にいる真菜に話しかける。

「何?生憎こっちは忙しいの。」

相変わらずのクールっぷりだ。

「実は、ガレキの中からこんなもの見つけたんだ。」

そう言って俺が取り出したのはライターだった。そう、あんなことで有耶無耶になっていたが、俺はすばらしい物を見つけたのである。

「わぁ、ナイス、すぎる。敦志、ナイス…貸してくれない?」

クールさが一気に剥がれ落ちましたね、孤高の花さんや。ただ、真菜以外の誰かだと信じたいが、ソイツが真菜から盗む可能性があるので、男の陽介に貸した。やつなら信用も置けるしな。

さて、俺は俺の業務に戻るとするか。

カーテンは8枚。我がクラスは30人だが一人死んで一人拘束中、4人の不良が消息不明なので一枚を3人で分ける。男女比が15対9というぷち奇跡(少し残念)がおこった。俺が女子と一緒だったら嬉しいし、他人だったら冷やかしたのに。

約15分後。

なんということでしょう、ベッド(机をくっつけただけ)布団(敷布団?羽毛布団?知らない子ですね。)暖房マジファイヤーが整ったではありませんか。

ハイ。わかってます。痩せ我慢です。お腹空いてます。不安です。何ならクソ寒いです。


日が沈んで。電線ごと切り離されたこの教室は真っ暗で、暖房だけが少し明るい。眠らなければ。

だが、不安で、寝てしまったら死ぬんじゃないか。アイツみたいに殺されるんじゃないか。家に帰りたい。そんな不安はどんどん膨らむ。同時に気持ち悪くなってくる。胃に飯を入れてないから。そんな風にして一睡もできないまま誰かのすすり泣きかずっと聞こえてくる夜が終わった。陽介によると目の下に隈ができているらしい。今日はなんとしても眠りたい。そして飯が欲しい。

全国の佐島さん、すいません。

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このあとの展開が気になります。佐島くんは復活するのか!?
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