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温泉 1/4

3章終わりまで見直しが終わったので再開です。

視点の移りが多くなってしまいましたが、長さ的にも実質3章Aと3章Bが組み合わさったようなものなので、それを考慮すれば……ごめんなさい(´・ω・`)


※重要

1章のサリアが、自分はデルタ世界出身と言っていますが、正確にはガンマ世界ですorz

よく覚えていませんが、おそらくそのあたりで設定を練り直したのでしょう。時間が空きましたら修正しておきます。

申し訳ありません。


 街の一等地、そこに慎ましく存在する小さな一軒家へと足を踏み入れました。

 今日は珍しく人型で歩いており、後ろからは領土戦に参加したメンバーに加えて時雨がついてきています。そう、今日の招待者は私なのです。

 

「普通の家?」

 

 肩下まで伸びる黒髪と活き活きとした黒目を持つ、日本ならばその辺を歩いていそうな容姿の少女『時雨』が、足を止めずに問いかけてきます。

 ラフな格好でいいと言ったのに冒険者の服と呼ばれる、最初に用意されていたものを着ているのはそれしかないからでしょうか。

 そもそも何着も持っている楓が凄いのでしょう。まあそんな楓も領土の長なので渋々購入したといった様子でしたけどね。

 それでも時雨以外、1着は街歩き用の外着を購入しているので、やはり時雨が買わなかっただけなのです。ええ、同じチームだった天翼族の少女『フェリ』も持っていましたから。

 

「入ればわかると思いますよ」

 

 普通じゃないと。

 問いかけてきた時雨が余裕を被りながらも期待している様子で、私に続いて玄関をくぐりました。そして驚愕にまなこを見開くのです。

 

「この世界って外見があてにならないわよね」

 

 腰を撫でる長めの黒髪を揺らし、黒曜のような黒い瞳で室内を見渡した『楓』がそう言いました。この集団の中では低めの、おそらく同年代でも低い身長ですが、目を惹く容姿が存在を埋もれさせません。

 それにしても時雨と同い年だというのに、この落ち着きようの違いは見ていて楽しいものです。

 別にどちらが優れているとかはありません。どちらも好ましく、望ましくないものでもありますから。

 

「外見よりも大きな玄関部屋に、温泉を予想させる暖簾ときたか。これは中も期待していいのか?」

 

「見た通りの温泉ですよ」

 

 その言葉に女性陣の瞳が輝きを増したのが感じられましたが、私の召喚者であるユウの様子は変わりません。

 膝丈まで伸びている新雪のように真っ白な髪を揺らして、ルビーのように赤い瞳で周囲を見渡していますが、楽しそう止まりなのです。そして、それはこの子にとっての楽しいではありません。

 

「温泉って、あったかい湖だよね? そこに皆で入るんだよね!」

 

 そう言ってはしゃいでいるのは『サリア』。肩下まで伸びる焦げ茶の髪、翠色の瞳、そして半透明で青色をした蝶のような羽を持つガンマ世界の少女です。

 この世界に召喚されて初めて出会った異世界の少女でもあり、召喚者のユウに次いで付き合いが長いともいえます。

 

「あったかい湖……たしかに間違ってはいません、ね?」

 

 自信なさげな語尾で答えたのは『翠』。肩ほどで揃えられた緑色の髪とエメラルドの瞳を持つ、楓よりも身長が少し高い気がする可愛い少女。

 そして隣で首を傾げているのが、双子の妹の『葵』。海色の髪と深海のような藍色の瞳を持つ、姉の翠とよく似た容姿の少女。

 2人とも楓や凛と同じアルファ世界、日本出身なのでもとは黒髪黒目だと思いますが、こちらの色も違和感がなく似合っています。

 

「自然の暖かい水溜まりが温泉でいいじゃないか」

 

 後ろで1つに結んだ腰まで届く長い黒髪を揺らし、黒い瞳を瞼で隠してうんうんと頷きながら答えたのは疑問に答えたのは集団の最後の1人『凛』。

 楓達と同年代のはずなのですが、並んでみれば高い身長とスタイルの良さも相まってお姉さんと妹達のようにも見えます。しかし、それは同年代の少女達と並んでも同じこと。

 そんな凛の適当な言葉に翠と葵は頷き、興味を内装へと移しました。

 

 湖にも不思議な効能を有するものはありますので、私としては暖かい湖で間違ってはいないと思っています。まあ異世界側を基準に考えれば、ですが。

 

「ところで番台に誰もおられないみたいですが?」

 

「あの番台は飾りです。ここは記帳された特定の人物しか入れないので、番台は必要ありません」

 

 真ん中にどんと構えるのは部屋の中にある個室のような番台。入り口側にガラスの無い窓があり、中には椅子だけが見える場所。その両隣にそれぞれ『男』と『女』と描かれた垂れ布があり、そこから性別で別れることを示唆しています。

 あとは透明な壁に包まれた、多くの瓶達が鎮座する空間があるくらいです。

 

「私達も記帳されているの?」「お風呂上がりの牛乳があるよ!」

 

「記帳者の同行者として許可されていますので、私がいなければ入れませんよ」「ボクはコーヒー牛乳がいいな」

 

 葵は私の答えに少し残念そうな様子を見せました。

 宿や領土館にお風呂はあっても、この街には一般開放されている温泉はありませんからね。新しく開放される温泉として期待していたのかもしれません。

 

「それでは、私は管理者と話をしてきますので先に入っていてください。タオルなどは用意してくれたみたいなので、きっと中にあるでしょう」

 

 そう言い残して右側のドアへと向かいます。

 管理者と書かれた木札が掛けられた、その場所へ。


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