↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
へべれけ!  作者: へべれけ
第12話
65/72

12-b1

そこは小さな村だった


其処に一人の男が現れた

その男の格好はこの辺りでは見た事の無い物で、長旅で酷使されたのか酷く草臥れていた

何処か遠くの方からやって来た様なその男は、村の外れの処で力尽きて倒れていたんだ

始め村人達はその男を行倒れだと考えて、彼を弔おうとした

だけど、彼は生きていたんだよ


村人が彼を運ぼうとして近付いた時、彼は微かに声を挙げたんだ


━━━━━━━━


村人達は困り果てた

何故ならこの村は本当に小さくて、自分達が生きていくだけで精一杯で、見ず知らずの他人を受け入れるだけの余裕が無かったんだから

だから村人達はその男を見捨てようとしたんだ

それは仕方の無い事だったのかもしれない

多分、例え見棄てられたとしてもその男は村人達を恨んだりしなかっただろう

だけど、その男は見棄てられ無かった

その村にいた一人の少女が、彼を助けたんだ


━━━━━━━━


その少女には身寄りが無かった

彼女がまだ幼い時に、少女の両親は死んでしまっていたんだ

それでもこの少女が今日迄生きて来れたのには訳が在る

彼女の両親はこの村を救う為に死んだんだ

かつて、この村の村人の一人が妖魔に取り憑かれた事が有った

その時に自ら身を挺してこの村を救ったのが彼女の両親だったんだよ

だから村人達は、今日迄彼女を村ぐるみで育てて来たんだ

最も、彼女の両親がこの村を救ったのは唯の偶然で、実際には彼女の両親が救おうしたのは彼女唯一人なんだけど、そんな事を今更言うのは野暮ってもんだろう?

何方にせよ彼女の両親がこの村を救ったのは事実だ

だから彼女が、その男を助けると言い出した時、村に迷惑を掛けない範囲で彼女自身が責任を持つという条件でそれは受け入れられたんだ



それから数ヶ月後、彼女の献身的な努力の甲斐が有って、村外れで行倒れていたその男は、奇跡的に息を吹き返したんだよ


━━━━━━━━


やがて息を吹き返したその男は、ゆっくりと快方に向かって行き、その間も少女はその男に献身的に尽くしていたんだ

だから、二人の間に何らかの特別な感情が芽生えたとしても、それは何も特別な事では無かったんだろうと思うよ


やがて男は体調を快復し、そして二人は恋に落ちた


でもね、その幸せな時間は長くは続かなかった

何故ならその村に、再び妖魔が現れたんだー


━━━━━━━━


村は焼け落ちた

村人達は死んでしまった

たった二人

行き倒れていた男と彼を助けた少女を残して


彼等が生き延びられたのには訳が有った

その男は、妖魔の力を操る者ー


"魔法使い"だったんだ


"魔法"を使い、辛うじて妖魔を退けた二人は灰となった村を捨て旅立った

まるで逃げ出す様に

或いは、何かを追いかける様にね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。