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宙に浮いたルーンが高速で動き廻る
本来ルーンは幾何平面上に記術されるらしいのだがそのルーンは僅かに湾曲しており、その結果そのルーンも三次元的な軌道を描いていた
魔力の受け皿となる筈の主文が存在せず、唯、魔力を集積させるだけのこの術式に於いて、魔力の流入経路はその記術平面の方向によって制約を受ける
どうやら此れが魔力の集積を偏向させる理屈らしい
この事は葵も知らなかったらしく大層驚いていた
まあ、基本集積された魔力は受け皿となる術式へと受け渡されるだけであり、又、魔力というのは非常に集積し難いモノなので、魔力の過供給による暴発の対処等本来あり得ない事なのだそうだ
その意味に於いても、翠は何処かアンバランスなのだろう
何方にせよ翠はその後も練習を続けていたが、魔力そのものの制御能力が向上した事を除けば、魔法の行使自体に目に見える程の進展は無かった
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「ふむふむ、なるほどナルホド・・・」
俺は茜のノートPCで何か翠の能力を活かせる方法がないか色々検索していた
このPCは、茜が父親からお古を譲り受けた物の様で、茜自身は余り使っていない様だったので今では俺専用になりつつある
初期には子供用のセキュリティが掛っていたが、そこいら辺は外させて貰って色々とカスタマイズしてある
型落ち品だがネット検索する分には問題無い
まぁ、利用出来る物は利用しないとね
「へべくん、何観てるの?」
「ぎゃあああああァァァァァ!!!!!」
検索に熱中する余り、茜が部屋に入って来た事に気付かなかった俺は、いきなり声を掛けられて絶叫した
「きゃあ!ちょっともう、へべくん!いきなり大きな声を出したらビックリす・・・・・裸?」
「いや、ちょ、ちが・・・誤解だ!」
「・・・・・へべくん?」
「誤解だ、誤解なんだよ茜!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「大変申し訳御座いませんでした」orz
その後、小一時間程説教されました
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ボン!という音が響き渡る
其れと同時にルーンが崩壊し、集積した魔力が霧散してゆく
だが諦める事無く翠はもう一度記術を再開しルーンを展開した
其れは既に何度も見て来た光景
主となる術式が存在しない以上、いくら魔力を集積しようと魔法は発動しない
其れは一見、全くの無駄でしか無い様に見える
しかしちゃんとメリットは有った
何しろどうやっても魔法が発動しないのだ
つまり其れは、魔力の暴発は有っても魔法の暴発は無いという事である
翠の場合、魔力の暴発でもそれなりの破壊力が在る訳だが、其れなら尚の事魔法の暴発はリスクが高い
だからこそ翠は、魔力の集積のみという一見無意味な練習を繰り返していた
そんな翠の練習を見ながら、茜は隣にいる葵に話し掛けた
「やっぱり女は胸なのかな?」
「どうしたの?急に」
「実は昨日、へべくんがね・・・」
そして茜は昨日の事を葵に話始めー
今俺は、三人に囲まれていた
「大変由々しき事態が発生しました。今日の練習は中止して緊急会議を開催します」
葵が緊急会議とやらの開催を宣言する
「えーと・・・どゆコト?」
辺りに漂う不穏な空気を読み取り、俺は葵に説明を求める
「茜から話は聞いたわ」
「何の?」
「裸」
その抑揚の無い一言で、俺は自分の置かれた状況を理解した
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終わった・・・orz
いや、未だだ・・・未だ終わらんよ!
此処は後々の為にも誤解を解かなくては
いや、誤解じゃないけど
とりあえず発言は慎重に、ちゃんと話せば皆も理解してくれる筈だ
そんな事を考えていると
「で?」
と葵が不機嫌そうに言い放つ
なので俺は可能な限り論理的になる様に説明を始めた
「えーと、確かに茜のPCでそういうサイトを覗いた事は不適切だった。其れは認めよう。だけどちゃんとセキュリティ対策はしていたし、変なサイトにも引っかかる様な真似はしていない。もちろんママさん等に見付かって茜に迷惑が掛かる様なデータもー」
「そんな事言ってんじゃ無いわよ!」
俺が説明していると、いきなり葵が大声で怒鳴った
「え?いや、え?でも、だってほら・・・」
「良い?へべれけ。私はね、そんな事を言ってるんじゃ無いの。私はね、何で貴方が態々女の人の裸の画像をネットで検索して迄観てる理由を聞いているのよ?判る?」
触れそうな程顔を近づけて、葵さんが微笑みながら説明してくれる
でも目が笑っていませんよ、葵さん
「え?だって、私も男ですし。女性の霰も無いお姿の一つや二つ観たくなっても致しかた御座いませんよ?」
そんな俺の説明に茜が口を挟んでくる
「で、でも、女の人の裸が観たいっていうのなら、へべくんは何時も私と一緒にお風呂入っているでしょう?」
「やだなぁ。ママさんやあの先生ならともかく、茜さんはお子様じゃ無いですか。最初は不意を突かれて動転しましたが、慣れてしまえばどうという事もなー痛い痛い痛い」
「茜、ヒゲは辞めなさいヒゲは」
いきなり何をするんだ、茜
動物にとってヒゲはとても重要な感覚器官なんだぞ
俺がヒゲを押さえて蹲っていると今度は翠がやって来た
「へべちゃんは、その・・・。女の人の胸は大きい方が良いの?」
「え?そりゃ無いよりは有った方が良いですし、有るなら有ったで大きい方が良ろしいのではないかと」
「・・・そう。私・・・私、頑張るから!」
少し恥ずかしそうにそれだけ言うと、翠は再び魔法の練習を始めた
「え?お、おう。頑張れよ、翠」
ちょっと話の跳び方について行けなかったが、とりあえず翠の事を応援する
何だろう?偶に女の思考について行けない時が在る
そんな事を考えていると背後に只ならぬ気配を感じた
「へべくん」
「へべれけ」
「「未だ話は終わって無いわよ!」」
それから暫く、俺は二人にヒゲを引っ張られ続けた




