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へべれけ!  作者: へべれけ
第10話
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10-a2

「さてと・・・」

俺は夜中の少学校の校庭を見回した


「結界を展開したから多少の事なら問題無いわ」

そう言いながら結界を展開し終えた葵が此方にやって来た

少し離れた場所には翠が記術式の準備を始めており、その横では茜が翠を励ましている


あの後、数日かけて翠の訓練計画を立案した

そして今日、其れを実行に移す為に茜達が通っている小学校の校庭に俺達は集まっていた


「夜の学校ってのは、なんだか不気味だな」

俺は誰に言うでも無くそう呟く

結界内は魔法的なものなのか明るくなっているが、校舎の方はポツポツと非常灯の灯りが見える程度で其れが一層校舎の暗さを強調している様に感じる


「怖いの?」

何時の間にか側迄近ずいて来た葵が、少し揶揄う様に聞いて来る


「べ、別に怖かねえよ。そんな事より行くぞ」

クスクスと笑う葵わ置いて、俺は茜と翠が居る方に歩き出した


━━━━━━━━


翠が指先を宙に這わせると光の文字がその軌跡に沿って現れて行く

その筆記速度は普通にペンでノートに文字を書き出す程度だ


「この光っている文字見たいのがルーンなのか?」

「そうよ」

俺の呟きに側にいた葵が答えた

俺としては独り言のつもりだったのだが、葵は俺に質問されたと思ったらしい

ついでなのでもう少し質問させてもらう事にする


「何て書いてあるんだ?」

翠のルーンに着いて俺は葵に聞いてみた

正直、俺には子供の落書きにしか見えないが

一応、文の羅列に見えなくも無い

宙に書かれたルーンはそのまま横に移動して行き、やはり宙に浮かんでいる蒼い光の前を次々と通過して行く

其れはまるでスキャナでルーンを読み込んでいる様だった


「さぁ?ルーンというのは、いわば様式化された詠唱の様なモノだから・・・。一人一人声色が違う様にルーンも実者によって形式が異なるの。まあ、基本的な術式は一緒なので構文からおおよその方向性はわかるんだけど・・・」

葵は俺の質問に答え始めたが、解説の途中で突然言葉を切った

と、次の瞬間葵がいきなり大声で叫ぶ!


「茜!そこから離れなさい!!」

「え?」

「良いから早く!」

翠の側で様子を見ていた茜が怪訝そうな顔をしながらもその場を離れた瞬間

轟音と供に凄まじい大爆発が巻き起こった


「茜!翠!」

そう叫んで、爆風が収まると同時に俺は駆け出した


「あいたたたー」

爆風に煽られ尻餅を着いていた茜は、そう言ってお尻を摩りながら立ち上がる


「翠はー」

茜の無事を確認した俺が翠の方を向くと、翠は大きく目を見開いたまま惚けた様な顔をしてその場にへたり込んでいた


「翠!おい!みど・・・」

俺は直ぐに翠に駆け寄ろうとしたが、途中で動きを止める


あ、駄目だ

完全に気絶してるわ、これ・・・


━━━━━━━━


「うわぁ・・・それにしても此れは・・・」

校庭の真ん中に出来たクレーターを見ながら、俺は言葉を詰まらせた


クレーターの中心部は未だグツグツと沸騰しており、周囲は蒸せ返る様な熱気が立ち込めている


「こんなんで、良く無事だったな・・・」

そう言って俺は茜達の方を見た

翠は未だ気絶したままで、茜が其れを介抱している


「基本的に術式には其れを使う術者の保護も含まれているから。茜の場合は・・・、恐らく反射的に防御結界を展開したんでしょうね」

俺の疑問に、隣で一緒にクレーターを除き込んでいる葵がすかさず解説してくれる

流石です、葵先生!

解説は君に任せた


「其れにしても・・・」

俺は独りごちる


「ええ、其れにしても・・・」

俺の独り言に答える様に、葵も呟く


「「どうするんだ(のよ)?コレ・・・」」

校庭の真ん中に出来たクレーターを前にして、俺達は頭を抱えた


━━━━━━━━


「問題は魔力の制御が出来ないと言う事ね」

葵先生が問題点を簡潔に纏めた

翌日、俺達は再び茜の部屋に集まって対策を練っていた

昨日の一軒で事前に立てた訓練計画は完全に瓦解していた

因みに、校庭の方は結界を解除した後、意図的に大きな爆発音だけを発生させてそのまま逃げ出した

一夜明けた今では、小学校の校庭に隕石が落下したと大騒ぎになっている・・・

取り敢えず今は、目の前の問題の解決に全力を傾けよう

茜達も何時に無くやる気になっている様だ

決して現実逃避ではない

多分・・・


「翠の魔力量は全く問題の無いレベルだわ。寧ろ多過ぎる位よ。魔法の制御が不完全なのも単に技術が未熟なだけじゃ無く、扱う魔力の量が多過ぎるのも要因の一つでしょうね」

葵が問題の詳細を解説してくれる


「だったら今後は、その魔力の制御を中心に練習すれば良いのか?」

俺は葵に意見を求めた


「そうね・・・それも最初は出来るだけ単純な方がいいわね」

「単純ねぇ・・・」

そんな事言われてもサッパリだよ


「取り敢えず魔力の集積から始めたらどうかしら?」

「「「?」」」

「魔法の発動には一定以上の魔力密度が必要になるの。でも、普通はそこまで魔力密度は高くないから術式は魔力密度を高める為に普通は魔力の集積から始めるの。翠の場合、本来この部分を省略出来る程魔力量が十分以上に高いんだけど、此処は術式の基礎になるから先ずは此処からだと思うわ」

「「「・・・」」」

うん、サッパリ解らん


「じ、じゃあそう言う方向性で・・・」

「う、うんそうだね・・・」

「が、頑張りましゅ!」

俺達は取り敢えず頷く事しか出来なかった


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