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「成る程・・・」
俺は腕組みをしたまま途方に暮れた
魔法少女としての翠は呪文詠唱、呪記術式、呪文様術式という三つのスタイルを行使可能な言わばチートなキャラだった
いや、正確には行使可能であればチートなキャラに成る筈だった
しかし・・・
「なみゃむみなみゃみょめなままみゃもー」
「すご〜い!翠ちゃん、噛まずに言えたよ〜」
「「・・・」」
「だったらねぇ、だったら次はぁ・・・。がしゅばくばすひゃ・・・ガリッ」
「翠ちゃん大丈夫!?」
""噛むの意味が違う・・・""
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「取り敢えず詠唱は絶望的ね・・・」
葵が口元を軽くヒクつかせながら感想を述べた
「記術式・・・ルーンだっけ?の方は?」
俺は葵に翠の評価を聴いてみた
「rune descriptionとpattern drawingに関しては問題ないわ。寧ろ記術後のruneを任意に動かせるなんてマスタークラスですら聞いた事無いわね。唯、rune descriptionにしろpattern drawingにしろ詠唱に比べて発動迄に時間が掛かるわ。それに記術型のspell castは、より定型的で応用が利きにくいから今のレベルだと極単純な記術式しか出来無いでしょうね」
「単純な・・・ねぇ、単純ってどれ位?」
「さぁ?私には使えないから其れは流石に判らないわ。詠唱はなんて言うか、こう・・・文法とか文言よりもイメージみたいな、より感覚的なモノの方が重要なの。でも、記術式は一文で一動作と言う感じで、其れを連ねて章と成して、一文章となって初めて一つの魔法に成るから詠唱よりも厳密で的確な呪文の紡ぎ上げが必要なのよ。呪文様術式の方はほとんど応用がきかない位定型的で当にPatternって感じね。唯、逆にその型を使えれば確実にその効果を得られるから詠唱補助としては理想的よね」
「成る程・・・さっぱり判らん」
「まぁ、へべれけは呪文が使えないからねぇ・・・」
「・・・」
葵がちょっと見下した様な視線を俺に送ってくる
俺は話の流れを変えようと前から疑問に思っていた事を葵に聴いてみた
「そ、そういえば茜はどのカテゴリーに入るんだ?彼奴が呪文を唱えている処何てみた事無いんだが?」
「茜?茜は・・・」
葵はそこで一旦言葉を止めた
そして、俺を正面に見据えると意を決した様に話始めた
「茜は、私の知っている限り、どのスタイルにも当て嵌らないわ・・・。だいたいに於いて媒介を用いずに魔術を行使出来る存在を私は知らない。唯一の例外が有るとすれば、其れは・・・妖魔よ」
「・・・妖魔?」
俺と葵の間に気まずい沈黙が流れる
その時、俺達の間を光る文字の様なモノが横切った
それの後を追うと室内を幾つかのルーンが飛び回っていた
「翠ちゃんすごいすごい!」
「えへへへへぇ〜、もっと早く動かす事も出来るんだよぉ」
そう翠が言うと同時にルーンが目にも止まらぬ速さで室内を飛び回り始める
「おい、ちょっ・・・危ないだろ!」
そんな事を言う間もなくルーンが壁や天井に当たって掻き消える様に消滅していく
「翠!」
「ごめんなさぁぃ・・・」
「へべくん!翠ちゃんを怒らないで!」
そんな他愛の無い何時も通りのやり取りをしながら、葵との会話が中断された事に俺は少しだけ安堵していた
"翠の事もそうだが、茜もか・・・"
俺は目の端で葵を追う
葵は此方を一瞥すると唯黙って窓の外を眺めていた
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「賢者の瞳が有れば何とかなるかも知れないわ」
翌日、俺達は再び茜の部屋に集合していた
そして、昨日の話の続きとして葵がそう言いだした
「賢者の瞳?」
「そう、賢者の瞳。判りやすく言うならrune leaderね」
「ルーンリーダー?」
いや、そんな当たり前の様に言われても判りませんよ?
実際、茜も翠もぽかーんとしている
「ハァ、そこからなの?まあ良いわ、tune leaderというのはねー」
そこから葵先生の長い長い解説が始まった
途中で翠がウトウトし出してお説教の追加が有ったので話は更に長くなった
葵の解説を要約すると、ルーンリーダーというのはルーンを詠唱するモノで現代のガジェットで言えばテキストリーダーだ
本などの文章を読み取って音声で読み上げてくれるやつで、それの魔術版って事らしい
一度呪文を記術した後にコレを使うとその術式を詠唱してくれる
記術→詠唱と二段構えになる為に施術時間は長くなるものの、通常の詠唱と同等の柔軟性が得られるそうだ
特に翠の場合、ルーンを任意に動かせる為やり方によっては施術時間を短縮出来るかもしれないそうだ
そうして結局その日はルーンリーダーとやらの解説で終わってしまった
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「で、此れがそのルーンリーダーってヤツか?」
「・・・」
「?」
翌日、茜の部屋で俺と茜と葵は翠の掌の上に有る蒼い球形の光を見つめていた
「それにしても昨日の今日で良く出来たわね」
「うん、昨日お家に帰ってから何となくやってみたら出来たの」
「此処まで出来ると驚きを通り越して呆れるわ・・・」
葵が軽く溜息を吐きながら呟く
「だが取り敢えず、これで方向性は決まったな」
俺はそう独りごちると、翠の訓練計画を組み立て始めた




