07-a2
「それで、へべくんはどっちを選ぶのかな?」
茜は帰って来るなりそう言った
「え?何?何の話?」
「何の・・・話・・・?」
茜の声のトーンが下がる
「へべくん、其処に座って」
「え?なんー」
「座って!」
「ハイ!」
トントントントン
茜の部屋の中に葵が指で机を叩く音だけが響く
床に正座する俺、其れを挟む様に2人が座っている
机の椅子に脚を組んで座る葵、ベッドの上に腰掛けている茜
2人は何も言わず、唯黙って俺を見つめている
"何なんだ・・・マジで何なんだよ・・・この状況は!"
息の詰まる様な重苦しい沈黙の中、俺は必死になって状況を把握しようと思考を巡らす
"落ち着け・・・先ずは落ち着くんだ、俺!"
2、3度深呼吸をすると、少しだけ気分が和らいだ気がして落ち着きを取り戻せた
"よし、よし!よーし!こっからだ、こっからが本番だ!考えろ!考えろ!!考えろ!!!
何でこんな状況になっているのか、考えるんだ!俺!!"
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「判る訳いねーだろ!!!」
思わずキレ気味にツッコむ
それからしばらく後、俺がこんな状況になった理由を必死に考えていると、長い沈黙に焦れたのか、茜が事の成り行きを話し始めた
「要するに、俺の取り合いになって決着が着かず、ならばと俺自身に決めさせようとした・・・と?」
「うん、まぁ、そんな処・・・かな?」
茜が目を逸らしながら答える
「どないせーちゅんじゃい・・・」
思わず頭を抱える
「それで、話の内容は理解して貰えたかしら?」
話が一区切りしたのを確認すると葵が口を開いた
「大体は・・・な」
「だったら、さっさと選んでくれない?」
「選ぶ?」
「そう、私の元に来れば良いのよ。簡単でしょう?」
「イヤ、ちょっと待て」
「何か不満でも?」
「不満とか、そう言う話じゃ無いだろ?」
「なら、どういう話だと言うの?私は彼女より強いわ。へべれけ、貴方のパートナーとしては、彼女より私の方がより相応しいと思うのだけど」
「待って!勝手に話を進めないで!」
茜が声を荒げる
「へべくんは私とずっと一緒に戦ってきたの!だから、これからもずっと一緒に戦って行くの!」
「あら?そんな事誰が決めたのかしら?少なくとも、それは貴方の言い分で、其処にへべれけの意思は入って無いわ」
「そ、それは・・・」
「だから、其れを決める為に此処に来たのでしょう?」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「へべくんは・・・へべくんはどうなの?へべくんはどっちを選ぶの?」
茜が縋る様に俺の方を見つめる
「はぁ〜。どっちとか、そういう問題じゃないだろう。大体、妖魔と戦う為に協力しようって話じゃなかったのか?それが、どこをどうやったらこんな話になるんだよ」
「そ、それはそうなんだけど・・・葵ちゃんが・・・」
「私?まぁ、確かに私には協力なんて必要無いわね」
「だったら、へべくんも必要ないんじゃないの?」
「それとこれとは話が別よ」
「どう別なのよ」
「いい加減にしろよ、おまえら!」
流石に俺も声を荒げた
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「えっと、葵さん・・・で良いか?」
「葵で良いわよ」
「・・・葵は、どうして俺達と一緒に戦かおうとしないんだ?さっき茜が言っていたけど、妖魔に負けると大変な事になるんじゃないのか?」
「そうね、確かに負けたらかなりまずいことになると思うわ」
「だったら・・・」
「負けなければ良いだけの事よ、そうでしょう?」
「でも、最近の妖魔は前よりも強くなってきている。いや、俺には妖魔自体が戦う度に強くなっている様に思えるんだ。確かに、今は1人でも戦って勝てるかもしれない。しかし、今後もそうであるとは限らない。だったら、協力して戦うほうがリスクを少なくできるんじゃないのか?」
俺がそう言うと、葵は意味有り気に笑った
「思った通りだわ。やはり、あなたは私のパートナーに相応しいみたいね。さぁ、私を選びなさい、へべれけ!」
「ちょっと待って!だからどうしてそういう話になるの?ここに来たのはへべくんの気持ちを聞くためでしょう?」
「同じ事よ。結局は、妖魔に勝ち続けなければ意味がないんだから。へべれけは、より強い方を選ぶしかないの」
「・・・貴方が、葵ちゃんが私よりも強いなんて誰が決めたの?」
「・・・いいわ、だったら決闘で決着をつけましょう。私とあなたで戦って、勝った方がへべれけのパートナーになる。それで問題ないでしょう?」
「・・・わかったわ、受けて立ってあげる」
「だからどうしてそういう話になるんだよ・・・」
再び俺は頭を抱えた
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「ねぇ、どうしよう?」
「・・・」
「うーむ、コレは予想外だったな。まさか、2人が茜の家に入って行くとは思わなかった」
3人は茜の家の前で途方に暮れていた
「暗くなって来たし、私、そろそろ帰らないと・・・」
「そうだな、今日は諦めてまた出直すか・・・。って、何をしとるんだお前は!」
京子が、電柱によじ登ろうとしていた琴音の首根っこを掴む
「コレに登れば中を覗けるかもしれないだろう?俺達には、結末を見届ける義務があるんだ!」
「そんなものは無い!帰るぞ!」
「い~や~だ~、俺は結末を見届けるんだ~~~!」
「うるさい!とっとと来い!」
「琴音ちゃん、御近所迷惑だよ」
京子は琴音を引き摺る様にして家路に着いた




