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へべれけ!  作者: へべれけ
第7話
35/72

07-a1

「茜ちゃん、茜ちゃん、こっち見られてるよ」

「あ、あははは」

翠の不安そうな問いかけに茜は笑って答えた


「やっぱりアレか?この前の事か?」

「その可能性が高いだろうな」

琴音と京子も話に加わる


「はぁ」

茜は視線だけを動かして、教室の扉に隠れる様にして此方を伺っている葵を見た


"うーん、どうしたものかなぁ・・・"

茜は頭を抱えた


━━━━━━━━


「また来てるな」

京子の発言に一同が黙って頷く


「休み時間ごとに来るとは、結構豆な奴だな」

「もう一度謝っておいた方がいいかなぁ?」

「えーと、この前の事とは関係ないんじゃないかな?」

「何か心当たりでもあるのか?」

京子の問いかけに、茜は少し困った様に笑うと


「有ると言えば有る様な・・・」

どこか曖昧な歯切れの悪い答えを返す


「とりあえず放課後に一度話し合ってみるよ」

「校舎裏か!校舎裏なのか!?」

「えぇ、ダメだよそんなのぉ・・・」

「落ち着け、お前ら」

「これが落ち着いていられるかってんだ!」

「主にお前だ!」

琴音の後頭部に京子のツッコミが炸裂する


「あははは・・・」

茜は乾いた笑いを浮かべながら、相変わらず教室の扉に隠れる様にして此方を伺っている葵を見た

"やっぱり、一度ちゃんと話し合うべきだよね・・・"


━━━━━━━━


「は?」

茜は少し間の抜けた声を上げた


「良く聞こえ無かったのならもう一度言うわ、へべれけを私に譲りなさい」


学校の帰り路、茜は葵に声を掛けた

葵も茜に話したい事が有るという事で、2人は共に学校を後にした

2人だけの秘密の話、他人に聴かれてはいけない魔法少女の話という事で2人は人目を避けた

そして今、2人は今あの空き地で対峙していた


「えーと、何でそんな話になるの?私はただ、妖魔と戦うのなら協力しようって言ってるだけなのに。この前だってー」

「関係無いわ。確かにあの時は多少苦戦したけど、別に一人で倒せない訳では無かったわ」


「・・・」

「・・・」


「だったら・・・だったら、一人で戦えば良いんじゃないかな?へべくんは関係無いでしょう?」

「貴方に、へべれけは相応しく無いと言っているのよ」

「・・・・・相応しく・・・・・無い?」

茜の声のトーンが下がる


「それって、どういう意味かな?」

「どうもこうも、そのままの意味よ」


「・・・」

「・・・」


「もう一度言うわ、へべれけを私に譲りなさい。へべれけは貴方には相応しく無いわ」

「・・・・・嫌、絶対に嫌!」


「・・・」

「・・・」


「ハァ・・・。ねぇ、知っている?妖魔との戦いに破れた魔法少女がどうなるか。戦いに破れた魔法少女はね、可能性を失うの。希望が絶望に変わるのよ。今迄、妖魔を倒した後に人の絶望を希望として集めていたでしょう?それと逆の事が起こるの。貴方の希望が絶望になるの。判る?妖魔との戦いは本当に危険なものなのよ。貴方には無理だわ。そして、もし貴方が負ければ、きっとへべれけの希望も絶望になる。私は今迄1人で戦い、多くの妖魔を倒して来た。そしてこれからも倒していく、だからへべれけを私に譲りなさい。きっとそれが、へべれけにとっても幸せな事だわ」

「貴方が負けないなんて誰が言えるの?へべくんを貴方に譲ったとしても、貴方が妖魔に負ければ意味が無いわよね?それに・・・それにへべくんは、貴方なんか選ばない!」


「・・・・・良いわ、判ったわ。だったら、へべれけに選んでもらいましょう。何方がよりパートナーとして相応しいか、それなら貴方も納得出来るでしょう?」

「・・・・・判ったわ、だったらこれから家に来て」

「?何故、私が貴方の家に行かなければならないの?」

「だって今の時間なら、へべくんは私の部屋にいる筈だから」

そう言うと、茜はニッコリと笑った



━━━━━━━━



「スゲエぜ、2人の間に濃密な殺気が渦巻いてやがる・・・」

琴音が汗を拭う仕草をしながら呟く

「そんなもん見える訳無いだろ!」

京子が一応ツッコミを入れるが、その視線は2人から離さない

「うぅ・・・ねぇ、やっぱり止めようよぉ・・・」

翠が不安そうに言うが、やはりその視線は2人から離れない


3人は空き地から少し離れた場所に身を潜め、茜と葵の様子を伺っていた

放課後に茜が葵と2人で学校を出てからずっと、2人の跡を付けて来たのだ


「茜の事だから問題は無いと思っていたのだが・・・これはマズイかも知れん」

「やっぱり男同士の決着は、夕日の河原か空き地で着けるもんだぜ!」

京子は何も言わずに琴音の頭を叩いた

「せ、先生を呼んで来た方が良いんじゃないかな?」

3人がそんな事を話している内に、2人が歩き出した


「!、動いた!」

琴音が声を上げる


「河原か?河原に移動するのか!?」

「ど、どうしよぅ〜」

「流石にこれはマズイんじゃないか?」

3人がそんな事を話している間にも2人は遠ざかって行く


翠と京子が軽くパニックになりかけた時、琴音が立ち上がる

「・・・見届けよう、この結末を・・・」

普段とは異なる琴音の冷静な口調に、2人は黙って頷いた

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