07-a1
「茜ちゃん、茜ちゃん、こっち見られてるよ」
「あ、あははは」
翠の不安そうな問いかけに茜は笑って答えた
「やっぱりアレか?この前の事か?」
「その可能性が高いだろうな」
琴音と京子も話に加わる
「はぁ」
茜は視線だけを動かして、教室の扉に隠れる様にして此方を伺っている葵を見た
"うーん、どうしたものかなぁ・・・"
茜は頭を抱えた
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「また来てるな」
京子の発言に一同が黙って頷く
「休み時間ごとに来るとは、結構豆な奴だな」
「もう一度謝っておいた方がいいかなぁ?」
「えーと、この前の事とは関係ないんじゃないかな?」
「何か心当たりでもあるのか?」
京子の問いかけに、茜は少し困った様に笑うと
「有ると言えば有る様な・・・」
どこか曖昧な歯切れの悪い答えを返す
「とりあえず放課後に一度話し合ってみるよ」
「校舎裏か!校舎裏なのか!?」
「えぇ、ダメだよそんなのぉ・・・」
「落ち着け、お前ら」
「これが落ち着いていられるかってんだ!」
「主にお前だ!」
琴音の後頭部に京子のツッコミが炸裂する
「あははは・・・」
茜は乾いた笑いを浮かべながら、相変わらず教室の扉に隠れる様にして此方を伺っている葵を見た
"やっぱり、一度ちゃんと話し合うべきだよね・・・"
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「は?」
茜は少し間の抜けた声を上げた
「良く聞こえ無かったのならもう一度言うわ、へべれけを私に譲りなさい」
学校の帰り路、茜は葵に声を掛けた
葵も茜に話したい事が有るという事で、2人は共に学校を後にした
2人だけの秘密の話、他人に聴かれてはいけない魔法少女の話という事で2人は人目を避けた
そして今、2人は今あの空き地で対峙していた
「えーと、何でそんな話になるの?私はただ、妖魔と戦うのなら協力しようって言ってるだけなのに。この前だってー」
「関係無いわ。確かにあの時は多少苦戦したけど、別に一人で倒せない訳では無かったわ」
「・・・」
「・・・」
「だったら・・・だったら、一人で戦えば良いんじゃないかな?へべくんは関係無いでしょう?」
「貴方に、へべれけは相応しく無いと言っているのよ」
「・・・・・相応しく・・・・・無い?」
茜の声のトーンが下がる
「それって、どういう意味かな?」
「どうもこうも、そのままの意味よ」
「・・・」
「・・・」
「もう一度言うわ、へべれけを私に譲りなさい。へべれけは貴方には相応しく無いわ」
「・・・・・嫌、絶対に嫌!」
「・・・」
「・・・」
「ハァ・・・。ねぇ、知っている?妖魔との戦いに破れた魔法少女がどうなるか。戦いに破れた魔法少女はね、可能性を失うの。希望が絶望に変わるのよ。今迄、妖魔を倒した後に人の絶望を希望として集めていたでしょう?それと逆の事が起こるの。貴方の希望が絶望になるの。判る?妖魔との戦いは本当に危険なものなのよ。貴方には無理だわ。そして、もし貴方が負ければ、きっとへべれけの希望も絶望になる。私は今迄1人で戦い、多くの妖魔を倒して来た。そしてこれからも倒していく、だからへべれけを私に譲りなさい。きっとそれが、へべれけにとっても幸せな事だわ」
「貴方が負けないなんて誰が言えるの?へべくんを貴方に譲ったとしても、貴方が妖魔に負ければ意味が無いわよね?それに・・・それにへべくんは、貴方なんか選ばない!」
「・・・・・良いわ、判ったわ。だったら、へべれけに選んでもらいましょう。何方がよりパートナーとして相応しいか、それなら貴方も納得出来るでしょう?」
「・・・・・判ったわ、だったらこれから家に来て」
「?何故、私が貴方の家に行かなければならないの?」
「だって今の時間なら、へべくんは私の部屋にいる筈だから」
そう言うと、茜はニッコリと笑った
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「スゲエぜ、2人の間に濃密な殺気が渦巻いてやがる・・・」
琴音が汗を拭う仕草をしながら呟く
「そんなもん見える訳無いだろ!」
京子が一応ツッコミを入れるが、その視線は2人から離さない
「うぅ・・・ねぇ、やっぱり止めようよぉ・・・」
翠が不安そうに言うが、やはりその視線は2人から離れない
3人は空き地から少し離れた場所に身を潜め、茜と葵の様子を伺っていた
放課後に茜が葵と2人で学校を出てからずっと、2人の跡を付けて来たのだ
「茜の事だから問題は無いと思っていたのだが・・・これはマズイかも知れん」
「やっぱり男同士の決着は、夕日の河原か空き地で着けるもんだぜ!」
京子は何も言わずに琴音の頭を叩いた
「せ、先生を呼んで来た方が良いんじゃないかな?」
3人がそんな事を話している内に、2人が歩き出した
「!、動いた!」
琴音が声を上げる
「河原か?河原に移動するのか!?」
「ど、どうしよぅ〜」
「流石にこれはマズイんじゃないか?」
3人がそんな事を話している間にも2人は遠ざかって行く
翠と京子が軽くパニックになりかけた時、琴音が立ち上がる
「・・・見届けよう、この結末を・・・」
普段とは異なる琴音の冷静な口調に、2人は黙って頷いた




