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07-i
「はぁ・・・」
葵はベッドに座ったまま溜息を吐くと、ぬいぐるみを抱きしめた腕に力を込めた
「へべれけかぁ・・・」
葵は、もう一度その姿を思い浮かべる
賢そうな瞳、つやつやの毛並み、ふわふわでもこもこのしっぽ
そして、本当に話をする事が出来た
コテンっと、ベッドの上に倒れ込んで天井を見上げる
葵は思い出していた
昔読んだ絵本の主人公
その少女は動物とお話ができた
少女は、動物達と話をする事によって、動物達と友達になったり、様々な問題を解決したりした
その姿は、葵の理想であり憧れだった
葵は、魔法少女になってから、何度も動物に話掛けて来た
しかし、動物と話せた事は一度も無かった
そう、へべれけと出会う前迄は---
「へべれけかぁ・・・」
もう一度そう呟くと、葵は抱きしめたぬいぐるみに顔を埋めた




