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へべれけ!  作者: へべれけ
第6話
31/72

06-b1

「藍子先生、ごめんなさい」

「ハァ・・・」

茜が謝ると藍子先生は一つ溜息をついた。


「ペットを学校に連れて来てはダメでしょう?」

「連れて来た訳では無くて、勝手に付いて来たと言うか・・・」

「どちらにしろ校内に入って来たのは事実な訳だし、飼い主としてペットはちゃんと管理しないとね?」

そう言うと藍子先生は俺の方をチラリと見る


"え?やだ、もしかして藍子先生、この俺に気がある?"

そんな感じで上目遣いに藍子先生の方をチラチラと見ると、藍子先生は少し眉根を潜めて横を向いた

うん、わかってた、わかってたよ・・・


「ごめんなさい、次からは気をつけます」

茜は力なく俯いたまま再び謝った


「ハァ・・・今度はちゃんとしてね」

藍子先生はそう言うとケースを持ち上げて茜の前に置いた


「ありがとう、藍子先生!」

茜は藍子先生にお礼を言うと直ぐにケースの蓋を開ける


「あ、ちょっと・・・」

藍子先生は止めようとするが、それよりも早く俺はケースを飛び出し茜の腕を駈け上がる


「大丈夫だよ藍子先生、 へべくんはとても賢いからね」

肩の上に乗った俺の頭を優しく撫でながら、茜はそう言って笑った


━━━━━━━━


「大丈夫だった?茜ちゃん」

「あ、待っててくれたんだ」


「俺もいるぜぃ」

「私もだ」

「みんなもありがとう」

茜が教室に戻ってくると翠たちが待っていた


「やっぱり、へべっちだったか」

琴音が俺の頭を撫でようと手を伸ばしてくる

一瞬、その手を振り解こうかと考えるが、考え直して頭を撫でられることにする

"わざわざ茜の事を待っててくれた様だし、この位は良いか"


「それにしてもどうして、へべれけくんは学校まで来たのだろうな?」

「さ、さぁ?」

茜がバツが悪そうに目をそらす


「茜に会いにだろ?」

「へべちゃん、1人で家にいるのが寂しかったんじゃないのかなぁ」

それぞれが、思い思いの考えを口にする

正解は、魔法少女を探す為に学校の名簿を調べに来ただが、そんなことを言えるわけがない

返答に困る茜を置いてけぼりにして、少女たちの雑談はとりとめも無く続く


其れからどの位経ったか

"これが女の井戸端会議か・・・"

そんな事を考え、ゲンナリしながら茜の方を見ると、茜も少し疲れた様な顔で合槌を打っていた

本来なら、茜もこの話の環に交じってとりとめもない話を楽しんでいるのだろうが、今回ばかりは当事者としてそこまで気楽にはなれないのだろう


"さてと、どうしたらこのお喋りを止められるか?"

そんな事を考えた丁度その時、下校時間を知らせるチャイムが鳴った

「時間も遅いし、そろそろ帰ろう」

茜はそう言って話を断ち切ると、皆んなを教室から出るように促した


━━━━━━━━


「バイバイ、又明日」

そう言って翠達と別れた後、俺たちはとぼとぼと家路についた


「へべくん、何か判った事はあった?」

茜が俺に尋ねる

「 名簿すら見つけられなかったよ」

俺も力なく答える


「そっか、次はどうしようか?まさかもう一度は・・・出来ないよね」

「さすがに2度目は無いな、こうなったら直接捕まえて話をするしかないな」

「直接捕まえる?」

「あゝ、今度妖魔が出た時にあの少女が現れたら、捕まえて話をする」

「捕まえて・・・か」

茜はゆっくりと空を見上げた

「う〜ん、なんか違う気がする」

「何がだ?」

「捕まえるとか、話を聞くとかそういうんじゃないんじゃないかな?

私は私の都合で妖魔を倒しているわけだし、あの子はあの子の都合で妖魔を倒しているんだと思うんだよね。

だったら、別々に妖魔を倒していてもいいんじゃないかな?

へべくんはどう思う?」

「確かに別々でも構わないとは思う。

だけど、もし協力し合えるのならば、協力したほうが良い。

茜は最近妖魔が強くなっていると感じたことはないか?

実際この前の妖魔も、あの子が倒してくれなければかなりヤバかった。

それに、単に強さだけの問題じゃない。

今まで俺が見てきた妖魔は、全てその特性が違っていた。

そして、茜とあの少女も戦い方は違っていた。

これはつまり、 魔法少女と妖魔の間には相性の様なものががあって、その相性次第で有利にも不利にもなるって事だ。

だったら、より多くの状況に対応出来る様にしておいた方が良い。

そうすれば、少しでも危険を減らす事が出来るから・・・」

そう言って茜の方を見ると、茜は大きく目を見開き、驚いたような顔をしてこちらを見つめていた

気が付けば、いつの間にか足も停まっている


「え?何?俺、なんか変なこと言った?」

「ううん、そんな事無いよ」

「なんだよ一体」

「へべくんが居てくれて良かったなって・・・」

「え?」

「何でもない」

そう言うと茜は嬉しそうに笑って、再び歩き出した


━━━━━━━━


その日の夜、妖魔が現れた

ついこの間現れたばかりだというのに、最近では妖魔の現れる感覚も不定期になってきている

これは何かの前触れかそれとも・・・

とりあえず、俺たちはピリピリとした感覚を辿ってその場所へと急ぐ

月灯りの下で蠢く妖魔

そしてその側には、1人の少女の姿があった


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