拾われた追放者
投稿…眠気ゲージが溜まってきた、後一本投稿できるかな、微妙かな?
――カチャッ――
「――お嬢様、御報告が」
ある部屋へ入った老執事が…化粧台に腰掛ける少女へそう告げる。
「あら爺や――〝あの人〟が目を覚ましたのかしら?」
化粧台の鏡越しに老執事を見る少女は、老執事の言葉を待たずしてそう言うと…老執事は感服した様に頭を下げ、少女へ告げる。
「…報告は無用でしたか」
「ウフフッ、そんな事は無いわ爺や…お父様とお母様にも知らせてあげて♪」
その言葉に少女がそう言うと、執事は一礼してそう言う。
「ハッ、既に御報告しております…そして面会の御用意も既に」
「流石爺や、相変わらずの仕事ぶりね♪…私の〝御呪い〟よりもよっぽど魔法じゃない♪」
「勿体無き御言葉です」
その言葉に少女が称賛を与えると、老執事は謙遜混じりにそう言い…彼女の側で控える。
「それじゃ、行きましょうか♪――あぁ、漸く〝あの人〟に逢えるのね!…私の〝運命の人〟…私の〝大切な人〟に!」
そして、少女は自身の納得が行く身支度を整えると席を立ち…その黒色の髪を揺らして声を弾ませる。
「お嬢様、ソレは国王陛下の前では御内密にした方が宜しいかと…物事には順序と言うものがありますので」
「あら、お父様なら何時も死んでるじゃない♪」
「それは…そうですが…」
「なら問題無いわ!」
「……」
その言葉に老執事は、己の主への何度目かも分からない冥福を祈るのだった。
●○●○●○
――ガチャッ――
扉を開けば其処に有ったのは…宙に浮かぶ小さな丸い火の玉で衣服とベッドを乾かしている男の姿が有った。
「――貴殿、何をしているのだ?」
「……あぁ、すまない…勝手に動いてしまって」
「あッ!」
その様子に鎧姿の赤髪の女性は疑問に眉を顰め、奇行の男は無表情にそう言い、メイドの少女はしまったと言った様子で声を上げる。
「?…どうしたんだラズ?」
そんなメイドの様子に騎士の女性がそう問い掛けると…メイドの少女は落ち着かない様子で口籠る。
「あ、えっとそのぉ…こ、コレは何と言うか、故意でなく偶然と言うか、事故の様な、勘違い?…いや気の所為とえーっと…」
「……もしや、患者に粗相をして、その始末をせずに部屋を飛び出した…等と言う訳ではないな?」
「(ギクリンチョッ!?)」
その様子に、女性がそうメイドに詰問すると…メイドがビクリと肩を跳ねさせる…すると、不意にその言葉に男が答える。
「――あぁ、いや…コレは俺が悪いんだ…水桶が有るのを失念してしまってな…このまま放置するのも忍びないので、乾かして…手慰みに部屋を掃除していたんだ…すまない」
「……そうなのか?」
「ッ!(パチンッ!)」
男の声に騎士の女性がそう言う…その背後で目を輝かせ、猛烈に感謝の意を告げる様に手を合わせるメイドに男はコクリと頷くと…改めて謝罪を口にする。
「改めてすまないな、どうやら俺は1週間もの間世話になったらしい、その上勝手な真似をした事を許して欲しい…申し訳無い」
「いや、それは…うむ、良いのだ…特別何か妙な真似をした訳では無いのだろう…ならば私が咎める事等何もあるまい」
男の言葉に女性はそう言うと…改めて男へ言葉を紡ぐ。
「さて、先ずは軽い自己紹介をしよう…私はリズ…〝イルズ東方王国の第3騎士団団長〟だ…そして、其処に居るのがラズ…私の妹で、見習いのメイドだ」
「は、はい!…御紹介に預かりました、私はラズと申します!…メイド見習いをしています!」
2人の自己紹介に男は一度頷くと…男は姿勢を正し…2人へ自身の身を明かす。
「俺は……〝フロディ・オーガー〟だ…ただの〝放浪者〟だ……行く宛も無く、生きる宛も無く…彷徨い歩いていた」
その言葉にリズは何かを察した様に、表情を病ませ…対照にラズは男、フロディの言葉に否を告げる。
「いやいやいや!――フロディさんがただの浮浪者な訳無いでしょう!?――だって〝王女様〟の命で見つかった方ですよね!?」
「王女の命で…見つかった?」
「ラズ!」
――ゴンッ!――
その元気の良い…悪く言えば無遠慮な物言いでそう食い付くラズの頭部に、リズの拳が振り下ろされて、ラズは地に沈む…その光景に男は困った様な雰囲気でラズを見つめていたが、ふとリズに言われた言葉に、視線を上げる。
「済まない、愚妹は躾が足りんのだ…またエリンズ殿に躾を頼んでおく…それはそうと、フロディ殿、早速で悪いが私と共に来てくれ…国王陛下達と、〝王女様〟が貴殿に会いたいと申しているのでな」
「……そうか…分かった」
そう言うと、リズはフロディを連れ…客室を出る……道中凄まじい覇気を纏った老齢のメイドが2人とすれ違ったりもしたが、特別何か起こることも無く…2人は暫くの闊歩の後に、玉座の間の眼前へと辿り着く。
「陛下、〝件の御人〟をお連れして参りました!」
その言葉が木霊する…すると、少しの間を置いて、扉越しに声が響く。
『うむ…入れリズ』
その言葉にリズが進み始めると、玉座の扉が開かれ…2人は改めて、玉座の間…その威容を目に映す。
――シャンッ――
其処は決して、黄金郷の様に絢爛豪華を極めていた訳では無いが…上質な作りと、所々に施された装飾が、上品に〝高貴〟を現していた…その空間に入るだけでキュッと身が引き締まるような…そんな思いが2人に巡るだろう。
「…ただいま、此処に…〝例の御人〟をお連れに参りました…陛下、王女殿下」
玉座の間…その中心でリズがそう言い跪くと…フロディもまた同じ様に跪こうと足を折る…すると。
「良い、そう畏まるな二人共…此処は公の場では無いのだ」
その言葉に、リズはふぅ…と小さく息を吐き、フロディは跪き掛けていた身体を起こして国王と、その親類に視線を送る。
「うむ…其処の者よ…名は?」
すると、突然国王がそうフロディへ問う…まだ名乗りすらしていないのだから当然か…と、フロディが国王達へ名乗ろうとした…その時。
「失礼しました…私は「フロディ・オーガー♪」」
男の言葉に被せる様に、そんな鈴の様に楽しげな声色が場を満たす。
――カッ…カッ…――
そして、その声の主はそう言うと…その美しい黒いドレスを靡かせ…玉の様に白い肌を覗かせ、紫の美しいヒールで白い石畳を突きながら、男の元に歩み寄る。
「〝元リノベルト北方王国所属〟、凄まじい武勲と、優れた戦の才でリノベルトの戦争を何度も勝ちに導いた〝戦の神〟…そして」
その言の葉と、声の主の行動に皆の視線が一点に集まる…そして。
「私の〝愛しい旦那様〟…♡」
そう言い、男の手を握り…ニッコリと微笑み掛けたその瞬間。
「…は?」
リズが思わずと言った様子で、そう言い。
「「「「…は?」」」」
次いで、玉座を守護する近衛騎士達がそう言い。
「…あらあら」
次いで次いで、王妃が驚き口を塞ぎ…。
「……何を言っているんだ…貴方は」
フロディがそう困惑混じりに彼女を見据え…そして。
「ヒュッ――娘の旦那…!?」
国王陛下が…その厳つい顔に見合わないノミの心臓を驚きで止め…息絶えた。
悲報、イルズ東方王国国王、崩御(死んでません)




