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おかしなおかしな教師近藤TV  作者: 柿井優嬉


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8/9

旅番組

 その日も、詩織は近藤が用意した動画を本人の前で観ました。

 画面の中で、近藤が街を練り歩いています。どうやら旅番組のようです。

 近藤の容姿は実に普通のおっさんなので、庶民の風情が漂う旅番組に非常に適している印象でした。

 ただ、そこは変わり者の彼です。通常、旅番組といえば、その土地ならではの個人商店なんかを訪ねるものでしょう。

 ところが、彼が足を踏み入れる先は、コンビニなどのチェーン店ばかりなのです。

 しかも——。

「以前から思っていたんですが、どうして同じ店なのに、店舗によって置いてある商品が違うときがあるんですか? そのせいで、わざわざ自宅から遠いほうまで行かなきゃいけなかったりして、腹が立つんですけど」

 といった具合に、「旅番組で言うことかよ」と思わずツッコんでしまいたくなる発言ばかりするのです。

 しかし、そのアホさかげんにも、詩織はこのときもまた近藤に感心してしまったのでした。

 ほんとにすごい。旅番組でチェーン店に入っていくなんて、誰が思いつく? 旅番組もバラエティーではあるけれど、このスタンスでコメディー色のより強い番組を制作してくれたならば、大ヒット間違いなしよ。

 そのために、彼女は近藤に握手を求めることまで行ったのでした。

「すごいわ、近藤くん。局の上の人たちは歳だし頭が固いからなかなか受け入れてくれないけれど、本当に才能があるから、これからもお願いね。私も説得に成功できるように頑張るから」

「そうかい。そりゃあ、とても光栄だね」

 近藤は完全にうぬぼれ、そこから自宅まで異様に胸を張って帰る姿を目にした人々は皆、まるで王様のようだと思ったということです。


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