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その日も、詩織は近藤が用意した動画を本人の前で観ました。
画面に映しだされたのはすぐにそれとわかるニュース番組で、テーブルがあり、座った状態で、いかにもできるキャスターといった気取った態度丸出しの近藤が、原稿を読み上げました。
そして、それを受けて、隣の席でニュースの解説を行うのも、なんと映像を細工して、近藤がやるのでした。こちらも異常なかっこつけ具合です。
「こ……これは……」
詩織がそう言葉を漏らすと、近藤ははにかみながら言いました。
「いやあ、キャスターと解説員のどっちをやるか迷ったんだけれど、どうせなら両方やっちゃえって思いきったってわけさ。ドラマでも一人二役はあるからね」
そのクレイジーさに、本来ならマイナスの感情がわき上がるところですが、詩織はこう思ったのです。
すごく斬新。もちろんニュース番組としてはあり得ないけれど、やっぱりこの人の頭の中は普通じゃない。ほんと、どうにかしてバラエティー番組を作ってくれれば、きっとものになる。ううん、ものになるどころか、高い次元の作品を拝めるに違いないわ。
「ありがとう。局に持ち帰って、『ぜひこれを』ってプッシュするから」
実際にはしないですが、そう言って今回も近藤のプライドをくすぐりました。
「そうかい。まあ、後で困ることにならないように、慎重にね」
近藤は、もう何度も同じ手を使われているというのに、のぼせ上がって、大人な返答をして帰っていったのでした。




