第4話 門出
朝が来た。
カーテンの隙間からお日様の光が差し込み、私は起きてしまった。
「眠い……」
まだ寝足りないので、布団を引き寄せ顔を埋めた。その布団の匂いがいつもの匂いと違うものだと気づき私は体を起き上がらせた。
目に入ったのはこたつの上に置いてある空のプラスチック容器やハンガーにかけられている男性用の洋服、またツードアの冷蔵庫も置いてあった。
ここどこ?っと思っていると部屋の端の方から寝息が聞こえた。そちらの方に顔を向けると寝息を出している人の顔が見えた。その顔を見て、あーそういえば昨日は彼の部屋に泊まったんだと思い出し、安堵したのか「は〜〜」っと息を吐き出した。
とりあえず喉が渇いたのでこたつの上に置きっぱなしになっている昨日使っていたコップを手に取りキッチンの方に向かおうとしたら、そこで頭痛に襲われた。
「これはやばいな〜」
思わず声に出してしまったがこれは仕方がない。私は二日酔いになっていた。元々お酒が得意ではない上それに昨日の一気飲み、いつぶりはわからないが久しぶりに二日酔いに襲われこれほど辛いものはないなーっと思いながら私はキッチンの方へ向かった。
水道の蛇口をひねり出てきた水をコップに溜めてそれを飲んだ。飲んだら少し二日酔いが落ち着いたような気がしたが、それでもまだ頭が痛い。
改めて部屋の中を見渡した。
足の踏み場もないと言ったらそうでもないが、所々に物が散乱してあり、キッチンのシンクの中には使用済みの食器が溜まっていた。いかにも男の子の部屋だなと改めて思った。
私は部屋の片付けをすることにした。
寝ている彼を起こさないよう気をつけながらシンクの中の食器を洗い、平積みになっている本は棚に入れ、ゴミはビニール袋に分別してまとめた。表に干してあった洗濯物を洗い直そうと思ったが、洗濯機がないのでとりあえず放置。窓を開け換気をしてある程度部屋が片付いたところで彼が起きた。
「う〜ん、体いて〜」
目頭を擦りながら体を起き上がらせ、私の顔を見た。
「えーっと、おはよう?」
彼は何故か疑問形で言ってきたので私は、
「おはようございます。昨日はありがとうございました。」
っと返事をした。
一瞬彼は何故?みたいな顔をしていたが思い出したのか「あ〜〜」っと言いその場にあぐらをかいて話を続けた。
「昨日は眠れた?」
「はい、ぐっすり眠れたました。ちょっと二日酔いで頭が痛いですけど大丈夫です。」
「そっか〜、なら良かった。」
その時の彼はなんだか嬉しそうだった。その後は部屋がキレイになってるとビックリして、「ありがとう。」と言ってくれた。
私も彼もお腹が減ったので朝食を食べることにした。彼がコンビニへ行き、菓子パンと野菜ジュースを買ってきてくれた。私は野菜ジュースを彼はインスタントコーヒーを飲みながら菓子パンを食べた。
朝食を食べ終えボーッとしている。彼は壁に背中を預けながらタバコを吸い、吸い終えたこところで改まったような声で私に問いかけてきた。
「これからどうするの?」
これからってというのは勿論今日のことではないだろう。
これからどうするのか。どう生活していくのか、またどうやって生きていくのか。
「家には帰りたくありません。でもいく場所は……いや、ありません。」
事実を自分で口にした。本当にこれからどうすればいいのか、まるで出口の見えないトンネルの中に入ったような気分だ。
いろいろ考えているが答えが見つからない。私はその場で俯いてしまった。
「まー、大丈夫か」
彼は呟くように言い立ち上がり私の顔を改め見て、
「ほら、出かけるよ。」っと言った。
私は彼を追うようについて行った。
低いヒールの革靴に大きめのスエット、女としてどうなのかとふと考えてしまったが私は彼を追った。これほどの高揚はいつぶりだろうか、私はタッタッタッタッっと足音を立て階段を降りて行った。
着いたのは関東地方を中心に展開するディスカウントストアだった。看板の上にはデカデカとイメージキャラクターのペンギンが鎮座している。
彼は買い物カゴを手に取り次々と商品をカゴに放り投げていった。歯ブラシに可愛らしいマグカップ、彼のサイズより少し小さめの洋服にドライヤー、どれもこれも私の顔を伺うようにして放り込みレジに向かった。それなりの金額を払い店を出た。彼は店を出て振り向き私の顔見た。
「ま〜、嫌になったら黙って帰ればいいよ。」
無邪気な少年のように彼は行った。多種多様な人々が行き交う中、彼は本当に誰にも負けない笑顔と共に私にそう告げた。
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GWが過ぎ投稿がだいぶ遅れてしまいました。
今後は不定期に続けていきたいと思います。




