フェイズ11「絶対なる階級」
説明回
ただただ長文セリフだけにならないよう気をつけました。
町の顔役であるジョージに招かれ部屋の中へと入った一行、家屋の外観はお世辞にも趣味が良いとはいえないピンク一色のものだったが内装は意外にも外観のもう一つの特徴――西部劇の酒場をそのまま持ってきたかのような落ち着いた装飾で、シックな雰囲気を違和感なく漂わせていた。
そこで一行はシャドウ丸を筆頭にアストラル共和国へやって来た目的を【王命により】という部分を省き伝えた。現時点では情報収集においてそこまでの札を切る必要はないと考えての判断である。
一人一人を吟味するように見つめたジョージはその説明を聞き、ひと息ついた後にゆっくりと説明を始める。
「そう、あなた達は運がよかったわねぇ。真っ直ぐ首都に向かっていたら道中に見つけた騎士団達の二の舞になってたかもしれないわ」
「・・・それはそこにいるクソガキと戦った時みたいになるという事か?」
クソガキから壁面がえぐれるほどの一撃をもらったトキアメだが、既にカレンにより治療は終わり体調は万全のものとなっている。ただし機嫌はあまりよくないようだが・・・・
「えぇ、ある意味あの子のおかげで説明の手間が省けるわね。あなた達、ここに来るまでにあの子みたいに両手首にリングがある人物を見たかしら」
「えぇ、確認しています。助けて頂いた村人の方やここに来るまでにも白いリングをつけた冒険者がいました」
「つまりあのリングの有無こそが、あの謎の力の有無に関係しているという訳ですな!」
「大正解♥賢い子は嫌いじゃないわよ♥」
シャドウ丸が質問に答えグノバが指摘した内容にジョージは(ジョージ的に)ご褒美のウィンクを決める。
脳内妄想に浸っていてそれをスルーできたグノバは運がいい。
「このアストラル共和国には今、レベルとは違う力の強弱の概念が生まれているわ。それが階級、あのリングが示している要素よ」
「階級・・・ですか?あまりレベルと変わらないように思えますけど」
「その通りよお嬢ちゃん、レベルと同じく大小による優劣があるという基本理念は同じよ。違うのはその差による絶対性」
そうカレンに握った拳を向けると、指をひとつづつ立てながらジョージは説明を続ける。
「まず階級には段階があり一番下が初期階級、階級を持つ人間はほとんどがこの階級と思っていいわ。彼等は階級を持っているだけ、特にそれ以外には何の恩恵もないわ。ただしそれこそが一番の強みであり特徴なのよ」
そして一拍置いた後、ジョージは重々しく告げる。
【階級が相手より高いものは、あらゆる要素を無視し絶対的強者となり得る】
それがこの国における基本にして究極の概念だと冒険者達を真っ直ぐ見据えていった。
「階級を持たない者は最低階級である初期階級にすら絶対に勝てない。事実そこにいる子は見ての通り何の力も持たない子供よ、でも階級がなければ一流冒険者でもあの子には勝てない」
そこまで話した所でシャドウ丸も理解する。
レベル15にも至る我が国の精鋭、アスカロン騎士団がこの国で蹂躙されたのはこの為であると。
いくらレベルが高かろうとこの国に足を踏み入れた直後は階級を持たない。階級を持つならただの野盗ですら果てしない脅威となる。
「ほーん、で。どうしたらワシ等も階級が手に入るんじゃい。そのリングを手に入れればいいんか?」
(長話に痺れを切らした)神速丸が核心を付く質問をする。
確かにこの国の現状を正しく理解した今、自分達は何の戦力も持たないのと同義。早急に対策を練らねばならず最も有効な手は自分達も階級を手に入れる事である。
先程屈辱的とも言える敗北を目の当たりにしたトキアメや、シャドウ丸と同じ結論に至ったカレン達もその容姿から逸らしがちだった目を真っ直ぐとジョージに向け言葉を待つ。
「階級を得る方法はこの国の各所にあるパワースポット【聖地】へと赴き聖杯に触れることで恩恵を授かることが出来るのよ。そして階級を得た証として階級持ちの者は両手首にリングが浮かび上がるようになるのよ」
そう言いジョージは手首を見せる、そこには今まで見た者達と違う赤いリングが浮かんでいた。
何故、白ではなく赤色なのか。その当然の疑問を予想していたのかジョージは一言
「色は階級の強度の目安よ。まぁこれは今度教えてあ・げ・る♥」
手を口元にあて投げキッスの動きをする。
それまでジョージの事を真っ直ぐ見ていた冒険者一行の目が一斉に背かれたのは言うまでもない・・・




