第十一話 閑話・哀れな新人達
ご覧くださりありがとうございます。
短い閑話ですので、もう一話連続投稿しています。
乾いた金属音が、まだ訓練場の空気に残っていた。
見習いたちは、しばらく誰も言葉を出せなかった。
目の前で起きていたことを、うまく整理できていない。
剣がぶつかっていた。
それだけのはずだった。
なのに途中から、それが“見ていいものじゃない速度”になっていた。
「……あれ、模擬戦じゃないよな」
誰かがようやくそう言う。
答えは返らない。
ただ視線だけが、まだ同じ場所を見ていた。
そしてもう一つ。
さっきまでそこにいたはずの白鎧が、いない。
一番端で見ていた見習いが、指を差しつつ小さく呟く。
「……あの人、途中で指導放り出してあっち行ったけど」
沈黙が一拍遅れて落ちた。
***
「ねー、俺も入れてー」
まるで子供が遊ぶかのように近寄ってくるセインに、グレイヴは顔を顰めた。
「ヤダ」
「即答!ひどいっ!」
大袈裟に嘆くセインにレオンは首を傾げる。
「お前、見習い指導中じゃねぇの?」
「今日は終了!」
セインは堂々と言い切る。
「絶対、嘘だろ。あそこでオロオロしてんの、お前の担当の子達じゃねぇの?」
レオンの視線の先。
訓練場の片隅で、どうしていいか分からず視線を彷徨わせている新人達の姿があった。
「ん?そうだね?」
「あんた、ちゃんと面倒見てやれよ」
グレイヴが片目を眇めてセインを睨む。
「だって楽しそうな事してるからさぁ」
指導なんてやってられないじゃない?と悪びれる様子も無く笑うセインに、グレイヴが呆れる。
「仕事だろ?」
「一日くらいサボったってどってことないって!そ れ よ り!まーぜーてー!」
「ヤダ」
グレイヴはにべもない。
「いいよーって言ってくれるまで駄々こねるからね!」
恥も外聞も捨てたセインの言い様にレオンが頭を抱える。
「マジでやめろ。本当にやめろ。見ろ、お前のその姿に周りの目がどんどん死んでいく」
「ヤダ。入れてくれるまでやめない」
「何コイツめんどくさい」
何がなんでも混ざりたいセインと、あくまで拒否の姿勢を崩さないグレイヴ。
レオンは頭を押さえつつ息を吐いた。
「………せめて『今日は解散』くらい言ってきてやれ…」
続きを投稿しております。
そちらもお読みいただけると幸いです。




