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棚の間の囁き

詩織は宿題を思い出し、図書館で特定の本を探すことにした。香織も付き添うが、その本はなかなか見つからない。静かに読書していた賢きグリフォン ラルティ は、二人の様子に気づいて立ち上がる。しかし助ける前に、人間の姿をした若き人魚 アザリナ が現れ、「あなたは退屈ね、私が手伝うわ」と冗談めかして告げる。厳かな図書館が、思いがけない滑稽な場面へと変わっていく。

詩織はノートをめくり、ため息をついた。

「明日までに提出しなきゃ…あの歴史の本が必要なのに。」


香織は微笑んで答えた。

「図書館にあるはずよ。私も探してあげる。」


二人は階段を上り、高い棚へ向かった。静けさの中、ページをめくる音と遠い足音だけが響いていた。詩織は背表紙を目で追ったが、求める本は見つからなかった。


離れた席で読書していたグリフォン ラルティ は、二人の様子に気づいて視線を上げた。黄金の瞳が彼女たちを追い、静かに本を閉じて立ち上がる。翼がわずかに空気を揺らし、助けようとしたその瞬間——。


「退屈ね、ラルティ。いつも真面目すぎるわ。私が手伝う!」


軽やかな声が響いた。人間の姿をした若き人魚 アザリナ が現れ、髪は水のように光を反射していた。彼女は笑みを浮かべ、詩織と香織に近づいた。

「探し物? 隠れているものを見つけるのは得意なの。」


香織は目を瞬かせた。

「人魚…?」


詩織は心の中で思った。信じられない…でも本が必要。

「そう…古代史の本なの。どこにも見つからなくて。」


アザリナは棚に耳を傾けるようにして囁いた。

「本には声があるの。聞こうとすれば答えてくれるわ。」


ラルティは立ったまま、低く息を吐いた。

「ここは学びの場だ。軽率すぎる。」


アザリナは片目を閉じて笑った。

「秘密に満ちた場所に、少しの遊び心も必要でしょ。」


詩織と香織は顔を見合わせ、笑いをこらえた。図書館の厳かな空気は一瞬で崩れ、幻想と滑稽さが交わる舞台へと変わっていった。

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