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廊下の影

屋上での出会いの後、詩織と香織は幻だったと自分に言い聞かせながら授業へ戻る。しかし、廊下や図書館で見逃せない違和感が広がっていく。校舎よりも古い影のような存在、生徒に紛れる幻想的な姿。その中には、静かに本を読み、忘れられた秘密を守るかのような賢きグリフォンの男がいた。

屋上の囁きは、階段を降りても詩織と香織の心に残っていた。「誰にも言わないで」と香織が囁く。だが、日常はすでに揺らいでいた。


廊下では、生徒の群れの中に奇妙な影があった。教師でも生徒でもない、背の高い姿が静かに歩き、角を曲がると消えていった。


図書館は避難所のようだった。紙の匂い、灯されたランプ、静かな空気。生徒は本をめくり、職員は棚を整えていた。すべてが普通に見えたが、詩織は気づいた。離れた机に座る一人の男。グリフォンの姿を持ち、静かに本を読んでいた。翼は家具の一部のように折りたたまれ、その瞳は時を超えた知恵を宿していた。


香織も息を止めて見つめた。誰も気づいていないようだった。生徒たちは彼の横を通り過ぎても、存在を認識しない。詩織は屋上の風がここまで届き、隠された存在を連れてきたのだと感じた。


その日、図書館はただの学びの場ではなくなった。日常と幻想が共に息づく場所、眠れる記憶が開かれる場所へと変わった。

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