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絆の覚醒

タリシアの庭園は、まだ煙に包まれていた。炎は鎮まったものの、熱気は空気中に漂っていた。煤け、赤くなった腕のシオリは、苦しそうに息をしながらも、かすかな笑みを浮かべていた。ドラケアを鎮めることができたのだ。

ゆっくりと生徒の姿を取り戻したドラケアは、戸惑いながら目を開けた。呼吸は荒く、手はまだ震えていたが、そこにはもはや怒りの気配はなかった。目の前で、シオリはドラケアを抱きしめ続けていた。まるでその仕草だけが、ドラケアを支えているかのように。


ドラケア:「どうして…?どうして私を抱きしめたの…死ぬかもしれないのに?」


シオリは、弱々しくも毅然とした声で言った。「だって、あなたが迷子になってほしくなかったから…戻ってきてほしかったから。」


静寂が訪れた。生徒たちは、その仕草がどうして嵐を鎮めたのか理解できず、驚きながら見守っていた。



ドラケアは慎重にシオリを抱き上げ、草むらへと運んだ。足取りは重かったが、しっかりとしていた。到着すると、草の上に横たわり、震えながら近づいてくるルナラと目が合った。ルナラは一瞬、ドラケアが襲いかかってくると思った。


しかし、ドラケアは立ち止まり、狼を見つめ、微笑んだ。それは、嘲りや傷ついたプライドの笑みではなく、理解の笑みだった。


賢い竜は強く、誇り高く、礼儀正しい。若い竜は反抗的で衝動的だ。その瞬間、ドラケアは誰も予想しなかった成熟の片鱗を見せた。


ドラケア:「ありがとう!」


その言葉は、まるでありえないこだまのように響き渡った。傷つきながらも生きているシオリは、優しく微笑んだ。まだ震えているルナラは視線を落とし、小さな耳を弱々しくぴくりと動かした。何かが変わったことを悟ったのだ。


目に涙を浮かべた香織:「詩織…いつも向こう見ずだけど…でも…本当にすごい。」 信じられないといった様子のリウェン:「彼女が彼女を落ち着かせた…本当に落ち着かせたのよ!」


疲れ果てたゼイリンとアザリナは、かろうじて立っているのがやっとの状態で顔を見合わせた。


ゼイリン:「私たちの力の全てを…結局、彼女が…。」


アザリナ:「あの抱擁…どんな魔法よりも強かった。」


厳粛な表情のエレナラ・ヴェイラ校長は、オーラを鎮め、静かに語り始めた。


エレナラ・ヴェイラ:「私たちが目にしたのは、技でも魔法でもありません。絆です。詩織はドラケアの心に触れました。それは、どんな戦いをも超越するものです。」


庭は静まり返った。ただ一つ確かなことは、何かが変わったということだった。詩織とドラケアはもはやただのクラスメイトではなく、誰にも理解できない特別な絆で結ばれていたのだ。

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