表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/36

嵐を鎮める抱擁

暴走するドラケアの炎は庭を焼き尽くそうとしていた。だがシオリが命を懸けて抱きしめ、竜の怒りを鎮める。

炎は方向を失い、灼熱の海のように広がっていた。ドラケアはもはや学生ではなく、竜そのものとなり、力に呑まれていた。


ゼイリンとアザリナは限界に近く、防御は崩れかけていた。水は蒸発し、盾は砕けそうに揺れていた。校長エレナラは一歩前に進み、介入の準備を整えていた。


その時、混乱の中で一人の影が動いた。

シオリは涙を浮かべながら進み出た。体は震えていたが、決意は揺るがなかった。


彼女は炎を突き抜け、焼ける痛みに耐えながらドラケアへと近づいた。

「もうやめて…お願い!」


シオリは抱きしめた。


世界は一瞬、静止した。炎の轟きは止まり、全てが息を呑んだ。小さな体で竜を抱きしめ、消えそうになりながらも離さなかった。


学生たちは凍りついた。

カオリ「シオリ…!」

リウィン「危ない…燃えてしまう!」


だが抱擁は解けなかった。シオリは必死に、ドラケアの中に残る人の心へ届こうとした。


炎は揺れ、咆哮は途切れ、燃える瞳がシオリを見た。怒りと優しさが交錯する瞬間だった。


炎は次第に弱まり、ドラケアは頭を垂れた。息は荒かったが、怒りは消えていた。シオリは焼け焦げた服のまま涙を流し、微笑んだ。

「もう大丈夫…落ち着いて。」


ドラケアは初めて、怒りではなく疲れの咆哮を漏らした。炎は消え、庭は煙と静けさに包まれた。


ゼイリンとアザリナは驚き、防御を解いた。

ラルティは震える声で呟いた。

「やった…彼女は止めた。」


校長エレナラは足を止め、尊敬の眼差しを向けた。シオリは誰にもできないことを成し遂げたのだ。


草の上で、ルナラは微笑んだ。耳は弱々しく動き、尾は重く垂れていたが、瞳には共感が宿っていた。彼女は知っていた。シオリが皆を救ったのだと。


シオリは膝をつき、傷つきながらも生きていた。ドラケアが鎮まったことに安堵し、抱擁が嵐を止めたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ