曲芸でもなんでもやってやんよ!
猫の模様はタキシード柄をイメージしてます。
次の日、アリスは再び広場で造花を売っていた。
今日も全然売れない。
しかし、アリスよ、お兄ちゃんに任せなさい。
俺は芸をして客寄せをすることにした。
昔、大道芸で猫が芸をするところを見たことがある。
綱渡りや玉乗り、輪っかをくぐったりするやつだ。
俺はゴミから拾ってきた汚れたボールを引きずってきて、玉乗りをすることにした。
しかし、うまくいかない。
猫転生1回目だからか、バランス感覚が掴めない。
ボールの上に乗ることもできずに、俺は何度も地面に倒れる。
玉乗りがだめなら、逆立ちを……しようとしたけどできない。
まだ子猫だからか、元々運動神経が悪いのか、思うように体は動かない。
アリスの足元でわちゃわちゃしていた。
「オリバー、お仕事の邪魔しないでー」
アリスからみると、俺は遊んでいるようにみえるらしい。
お兄ちゃん、これでもがんばっているんだが。
しばらくボールと悪戦苦闘していたが、俺は疲れ果ててしまった。
アリスも疲れたようで、広場の隅っこの階段に座り込んでしまった。
俺もアリスの隣に、後ろ足をまえに投げ出して、腰をおろす。
これからどうしたらいいだろう。
お金が欲しい。
俺は前足で頭を抱えて考えた。そして階段に肘をついて、道行く人々を眺める。
「ねえ、あれ見て」
「やだ、かわいい」
「人間のふりしてるみたい」
いつの間にか俺の周りに人集りができていた。
無意識のうちに、人間の時のように、お尻をついて座っていた。肘をついて考え事をしていた姿が人間らしくて、ウケてるらしい。
「あなたの猫?」
俺達を囲んでる人の1人がアリスに訪ねた。
「うん、オリバーっていうの」
アリスは人集りをみて、造花を1輪差し出す。
「お花いりませんか?一つ100コインです」
「ん?じゃあ、一つ貰おうかな」
売れた!
俺は嬉しくなって、二本足で立ち上がって買ってくれた人に頭をぺこりと下げた。
途端に歓声があがる。
「かわいい!」
「私にも一つおくれ」
「僕にも一つ」
花が次々と売れる。その度に俺は買ってくれた人の前まで行って、頭を下げ続けた。
見事完売である。
「すごーい、全部売れたね」
アリスは嬉しそうだ。
人集りが去り、アリスは空の籠に俺を入れて帰宅する。
帰り道に屋台で買った串焼きを、アリスと俺と分けて食べた。
その日を境に、俺は広場で芸をすることになった。
玉乗りでも綱渡りでもない、人間だったときと同じように振る舞うだけで、客は喜んだ。
俺が思っていた、猫の曲芸とは違うが、お金さえ稼げれば何でもいい。
アリスが笛を吹き、俺はそれに合わせて踊ったりした。
毎回人気で、人集りができる。
造花を入れていた籠には、造花の代わりにお金が投げ込まれる。時には紙幣が入っていたりして、俺達の生活は少しだけ安定しだした。
そんなある日、1人の男の人が、アリスに話しかけてきた。
なんでも、自分は商人をやっていて、今度、偉い人を招待した食事会があるので、そこの余興で芸をしてくれないかとの依頼だった。
そこから、アリスと俺の運命は少し変わることになる。
読んでいただき、ありがとうございます。
☆マークを押して頂けると励みになるのでよろしくお願いします。




