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最後の賢者 エレメニルの物語  作者: 山乃末子
決着とその後
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ティーナの葬儀

 こうしてウェルたちの働きにより、チェイニの騒ぎは収束を迎えた。各国は賢者を失った国もあるが、巫女達も生還して次第に平常を取り戻しているようだ。ウェルが滞在している風の国では、関係者を呼んで水の騎士ティーナの葬儀が盛大に行われた。水の国からはクレフと水の巫女で王女のミーシャが参列していた。他の者は来ていない。エアリアとレイド、地の国はグレイド、ランド、地の賢者で王のガルド、火の国からはマチ、フレド、サーラの親子が参加した。


 ウェルももちろん出席した。風の国の王と、ミーシャ、クレフの挨拶があったのち、エアリアからティーナの最後について簡単に説明があった。ティーナは決死の覚悟でカーミラに挑んだ。最低でも時間を稼ぎ、あわよくば刺し違えようとしていたらしい。カーミラに深手を負わせることは出来たが、自分もカーミラの短剣で突かれ、水の呪いを受けたらしい。カーミラを討つ事はできなかったが、その魔力のかなりを使わせていた。エアリアもベルゼフに押されている状況だったので、もしティーナがいなければどうなっていたかわからない。


 その後、既に風の国に作られた墓碑に参拝した。ウェルはそこで水の巫女ミーシャにあいさつをされて、礼も言われた。


「この度はチェイニを滅ぼし、私も助けて頂いてありがとうございます」


「いいえ。元はといえばうちの一族の問題でもあった訳ですから。こちらこそご迷惑をかけて申し訳ありません」


「私達に力がないばかりに・・・ティーナにもこのような戦いに巻き込まれて欲しくなかったのですが・・・残念です」


 ミーシャは自分が人質になることで、水の国の者達を何とか救いたいと考えていたらしい。だが、ティーナやクレフなど、命を懸けても戦おうとする者を止める事はできなかった。ミーシャは公の場なので感情は抑えているようだが、ティーナを失った無念さは伝わってくる。


 地の賢者ガルドにも礼を言われた。


「娘を取り戻してくれてありがとう。力になれなくて申し訳ない。それにしてもジロにこんな息子さんがいたとは・・・」


「いいえ。私の責任を果たしたまでです。ガルド様には父のジロもお世話になっていたそうですね」


「ジロとは長い間一緒に旅をした。まさかこんな形で終わってしまうとは思わなかった。とても残念だ」


 サーラやフレド、マチも来ていたので話をした。レイドは魔剣ゾルンエルデをフレドに返していた。ウェルが魔力を注いだせいで、大幅にパワーアップしていたので、フレドは驚いていた。


 これほど各国の魔法使いが集まることはそうはないだろう。トードがウェルの近くへやってきた。トードは勇者を返上して風の賢者を継ぐらしい。ゆくゆくは風の国の王になるのだろう。


「マイを助けてくれて改めてありがとう。ウェルはこれからどうするつもりなのですか。このまま風の国に滞在してくれるのでしょうか・・・もしかすると・・・」


「実は旅に出ようと思っています。ジロが冒険したというエレメニルの外の世界を見てみたいのです」


 ウェルは何気なく答えたのだが、この場で耳をそばだてている者達がいたのをウェルは気付いていなかった。


 エアリアが家に遊びに来ませんか、と誘ってくれた。ウェルは旅に出るつもりだと伝えて、その前に寄ることを約束した。巫女達には家事手伝いをさせて、魔法や勉強を教えたりもしているらしい。エアリア達はかつてのウェルと同じく田舎暮らしだが、巫女達がいればにぎやかだろう。


「・・・そういえば、ウェルは村へ帰っていませんね」


 エアリアとレイドは既にウェルの村を訪れ、様子を調べていた。ルマとウェル以外の村人達は無事だったらしい。その際にルマの墓参りもした。ルマは村の共同墓地に埋葬されていた。


「パックや村の人たちもウェルのことを心配していましたよ。無事は伝えましたが、そちらへも一度帰ってあげて下さいね」


 ウェルはチェイニの件が解決してから、時間はあったはずだ。だが自分の村を訪れようとはしなかった。まるで今まで自分の住んでいた村を忘れていたように。もちろんウェルは、フェイやフェイの家が大好きだったが、それが言い訳になるのか・・・


 一週間後、ウェルは旅に出た。フェイが途中まで送ってくれる・・・と思っていたら、なんとフェイも旅の支度をしていた。


「親父殿の許可はもらったよ。置いていくつもりだったのに、剣も押し付けられてしまった」


 苦笑しているフェイの腰には宝剣ウィンデスヴォルテが光っている。フォーゲル卿、風の国の王、騎士団長、トードとマイにあいさつして、フェイと一緒に飛んだ。荷物があるが、今の宝剣の力を借りれば軽いものらしい。


「エアリアの家に寄って行くんだよね」


「ああ。でもその前に寄って欲しいところがあるんだ・・・ずいぶん遠回りになってしまうと思うけれど」


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