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最後の賢者 エレメニルの物語  作者: 山乃末子
決着とその後
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チェイニの城

 チェイニの城は水の国の外れにあった。意外なことに、クレフのアジトからそう遠くなかった。城は森の中にあり、それ程大きなものでもない。城の回りは木が刈ってあるが、最近の仕事のようだ。堀もあり、正門はつり橋になっている。石造りで、ところどころ破損して欠けているところがある。ずっと使われていなかったのだろう。正門から続く道も森の前で消えてなくなっていた。空から探せば見つけることができるが、森の中からは全く見えないだろう。


「さて、どこから入るのか」


 ウェルは他のみんなに、離れて、出来ればチェイニに見られないぐらいの位置で、ついてきて欲しいと頼んだ。チェイニ程の魔力なら簡単に感知されてしまうのかもしれないが。でも自然強大な魔力を持つウェルの方に、チェイニの注意も向くだろうとウェルは考えていた。


 ウェルは魔法で鎖を消し切って、はね橋を下ろした。正門もかんぬきを消した。音を立てて戸が開く。中は掃除も行き届いているようで、きれいだったが、かび臭いような匂いもする。


 ウェルはまっすぐにチェイニの部屋へ向かった。部屋は城の二階の奥にあった。この古城は三階まであり、チェイニは三階は使っていなかったようだ。ウェルはチェイニの部屋へ入ると、すぐにチェイニを見つけた。間抜けなことに、チェイニはウェルの進入に気付かなかったかのようだった。ウェルには気付いていたのかもしれないが、自分にとっての脅威とは思っていなかったのか。あるいはエアリアの偽火の巫女の罠にはまって、ショックを受けて気が動転でもしていたのだろうか。


「師ルマと父勇者ジロのかたきチェイニ・ユートン。空の魔法乱用の罪をもって死んでもらう。空の賢者ウェル・リゼルだ」


 チェイニは振り返るが、ウェルはチェイニに返事する時間も与えずに、消去の空魔法をかける。さすがにチェイニは、ウェルの予想より長い間抵抗したが、すぐにチェイニの魔力は尽きた。魔力が尽きればチェイニはそれほど危険な存在でもない。


「・・・な、なんという魔力量だ。サーラの偽者にやられて私の魔力量は減っていたとは言え、とんでもない化け物だな・・・空の賢者とはこれ程の力があるのか」


「・・・俺が規格外なだけだろうな。前賢者のノレノガでもエアリアとそう違う訳じゃないらしいし」


「・・・そうか」


 チェイニは転送の魔石を使おうとしたが、既にウェルに消されて存在していなかった。


「お前の魔力を封じて捕らえておくこともできるが、どの道4国の支配者達は、お前をただでおくつもりはないだろう。どうする」


「わかった。俺は消してくれて構わない。それが因果か・・・ひとつ頼みがある」


「なんだ」


「俺が造った巫女の偽者がいる。できれば消さないでやってくれ」


 四人の巫女が扉を開けて現れた。チェイニの隣の部屋に居たらしい。エアリアの造ったサーラと同じで、見た目はそのもののようだ。サーラとマイも、本物と見た目は変わらない。だが今のウェルにはわかる。彼女らは本物の巫女達ではない。魔力のポテンシャルがずっと低い。


「わかった。本物の巫女達は生きているのか」


「俺を消せば助け出すことができるだろう」


 魔力を使い果たしたはずのチェイニに、少しずつ魔力が戻ってきているのがわかる。本物の巫女達から流れ込んでいるのだろう。あまりぐずぐずしていると、魔法を使って逃げられるかもしれない。ここで逃がすと厄介なことになるかもしれない。


「これまでだ。チェイニ」


「・・・」


 ウェルはチェイニへ手をかざす。チェイニは消え去った。


 ・・・だがウェルはまだしなければならない事があった。火の賢者マチと3人の巫女はどこにいるのか。そして・・・もう一人のウェル。


 チェイニはおそらくウェルの潜在能力を脅威に感じていて、自分の魔力を巫女の力で強化してから万全を期してウェルと戦うつもりだったのでしょう。具体的にウェルの能力がどれくらいのものになるのかはよく分かっていなかったかもしれません。もし最初に遭遇した時点でチェイニがウェルと戦っていたら、おそらくウェルの能力も目覚めてしまい、チェイニは返り討ちにされていたかもしれません。そのかわりウェルが自分自身と魔力をコントロールできなかった可能性もあります。


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