ウェルの戦い
ウェルはその晩ベッドで半身を起こし、寝ずに考えた。翌朝フェイが様子を見に来るまでそのままだった。
「昨日は大変だったから起こさないでおこうと思ったんだけど・・・もしかして全然寝てないの」
「ああ、でも算段はついた」
「チェイニを倒しに行くの」
「そういうことになるかな」
「ご飯ぐらい食べていくでしょ」
遅い朝食を食べて、身支度をするといって部屋へ戻った。そこで精神を集中して彼を呼び出す。
「やあ。考えたいと言っていた事の、結論は出たのかな」
「ああ」
ウェルはもう一人のウェルに説明した。チェイニを倒すまではウェルの指示に従ってほしいこと。その後はすべてをもう一人のウェルに譲り、ウェルは二度と現れないつもりだと伝えた。
「そこまでしなくてもいいけどね。交代でもいいんだよ」
「いや。チェイニを倒し、友人や家族を助けてもらう報酬としては決して高くはない」
「そうか。そういうことなら喜んで協力しよう」
「あと、俺が消えてからも、俺の知人の安全は保障してもらおう。フェイ以外もね」
「もちろんだ」
チェイニを倒したらウェルはどうすればいいのか。最悪自ら命を絶つしかないかもしれない。しかしまずは仲間だ。ウェルが部屋を出ると、フェイが待っていた。
「私もついていくよ」
「昨日の戦いで魔力を使い切ったんじゃないのか。休んでいてくれてもいいんだよ」
「これがあるからね」
フェイは腰の宝剣に触れた。
「ウィンデスヴォルテはそれ自体魔力を持っている。剣の魔力を借りて魔法を使ったり、魔法を強化したりできるんだ。君の移動を助けることぐらいはできるよ」
そういえば、最初にフェイに会った時に、剣を持って何か呪文を唱えていたのを思い出した。どうも君に返してもらってから、若干デザインが変わって、魔力も強くなっているようだし、とフェイは付け加えた。
「どうする。おんぶかな。だっこかな」
フェイは手を広げて笑っている。
「どっちも何だかみっともないね」
ウェルはフェイに抱えられて飛び上がった。
「どちらまで」
「まず水の国だな。クレフとサーラのところへ行こう。・・・まあさすがに目立つから、途中から降りて行こう」
「了解」




