中断された会議
「我々の要求は簡潔だ」
ベルゼフは言った。
「巫女とそこのエアリア、ウェルを差し出せ。従うなら命まで取る事はない。以上だ」
「おやそこにいるのはクレフか。お前は降参しても死罪だね。裏切り者め」
クレフの顔色は蒼白だが、はっきりとした口調で答えた。
「お前に言われる筋合いはない」
「そういえばチェイニ様から伝言があった。『水の巫女ミーシャより、水の魔法使いクレフへ、大ばか』だそうだ。ミーシャは水の牢へ入れられたぞ」
そう言ってカーミラは笑った。
「この上ふざけるつもりか。これだけは言っておいてやる。お前の滅びはそう遠い先ではないぞ」
クレフはカーミラをにらみつけている。エアリアが言った。
「ここは私に任せて、一旦非難してください」
「私も残りましょう。カーミラ、私が相手になります」
ティーナが言った。クレフは止めようとした様だが、ティーナの言葉を聞いて引き下がった。地の騎士グレイドと騎士達も残ろうとしたようだが、エアリアに何か言われて、撤退することにしたようだ。たぶん国へ戻って地の巫女を守って欲しい、ということだろう。エアリアとティーナを残して、他の者は会議室から出た。とりあえず強力な結界が張れる風の王の部屋へ向かった。
途中で何とトードが現れた。緊急事態に心強い。
「うちの屋敷へ一旦避難しましょう」
トードはマイを抱えて窓から飛んで直接屋敷へ行こうとした。フェイもウェルとサーラを後ろから抱えて飛び立とうとしている。他の者は走って来いということか。ウェルがそんなことを思った時に、マイが言った。
「あなたはお兄ちゃんじゃない。誰ですか」
「なかなか鋭い子だ。でももう手遅れだな。風の巫女は頂いていく」
トードは見知らぬ男に変わった。銀の髪に不気味な黒い瞳。黒い服。その姿が一瞬見えてすぐに消えた。転送の魔石を使ったようだ。フェイや他の騎士達もあっけに取られたようで、立ち尽くしている。
「フェイ、これは一旦フォーゲル卿のところへ戻った方がいいのかな」
意外なことかもしれないが、ウェルが一番最初に、ようやく口を開いた。
「場所が割れているかもしれない。あまり使っていない別荘があるのでそちらにしよう。みなさん、私は火の巫女と空の賢者を先に隠れ家へ避難させます。大体の方向を見てついて来て下さい。すぐ迎えに参ります」
言い残してフェイは飛んだ。サーラをおんぶしたウェルを抱える形だ。真下が見えて、ものすごく怖い。しかも今回はスピードも以前に増して速い。すぐに別荘についた。
フェイは風の魔法で錠を開けたようだ。
「中で待っていて。すぐ戻るから。もし何かあったら・・・」
サーラを頼む、と言い残してまた飛び出していった。エアリアは大丈夫だろうか。
二人になるとサーラは言った。
「ねえ。クレフと何話してたの」
ウェルは話して良いのか少し考えた。サーラなら言っても良いだろう。クレフのことを話すと、サーラは熱心に聴いているようだった。しばらくして、クレフ大変なんだね、と言った。
フェイに先導されて、クレフやランド、地の騎士グレイドはすぐにやってきた。騎士達は息を切らしているが、ランドは何ともない。クレフも意外に平気そうだ。
風の王は城に残った。別に惜しむ命でもないし、おそらく危害を加えられることもないだろうと。風の国の騎士団長と騎士団も残った。様子を見てこちらへ伝えてくれるそうだ。
フェイが別荘の倉庫をあさって、食べられそうなものを出してきてくれた。調理などやったことない者ばかりなので、適当に食べている。保存食ばかりだ。そこに王から使者が来た。風の国騎士団の騎士の一人だ。どうやらベルゼフとカーミラは去ったらしい。
「会議室では戦闘が行われた形跡がありました。水の騎士ティーナ様は討ち死に。空の巫女エアリア様は行方不明です」
三章は一つの山場だと思います。話がパタパタ進み、テンポは良いです。




