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最後の賢者 エレメニルの物語  作者: 山乃末子
風の国
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風の勇者

 投稿した10月28日中に追記しました。

 風の国は賢者とは別に王がいる。今はかなり高齢だが跡継ぎもない。風の賢者セトを後継こうけいに、と王は考えていたようだが、セトはチェイニに殺されてしまった。後継者は現在検討中らしい。いずれは風の勇者トードや巫女のマイ、フェイにまでそんな話が回ってくるのかもしれない。


 トードは濃い黒い長髪に緑色の瞳をしていた。マイの瞳も同じ色だが、髪の色はフェイのように薄い緑色で、丸いショートカットになっている。フェイより色が濃いようだ。ひざ丈よりすこし上のスカートをはいている。飾りのようなマントにステッキも持っている。外出用の普段着だろうか。トードはくせ毛を伸ばして後ろで束ねている。登山でもするような上下に、大きなマントをはおっている。かなり荷物も背負って、旅にでも出るつもりのようだ。


「やあフェイ」「お久しぶりです」


「二人でおでかけ・・・という感じではなさそうだね。お兄さんが旅に出るので、お見送りというところかな」


 マイはトードの妹だった。たぶんフェイと二人も親戚なんだろうとウェルは思う。


「ええ。めずらしく家に留まっていると思っていたのですが、また旅に出るらしくて」


「お師さんの密命でね。残念ながら会議にも出られない。ところでフェイは騎士候補をしごき、もとい指導しているのかい。旅に出る前に、空の賢者様に会っておこうと思って来たんだけれど、今どちらに居られるかな。」


「その騎士候補が空の賢者様なんだけれど・・・とんでもない魔法を使うんで一本取られたよ」


 ウェルは風の勇者トード、巫女のマイにあいさつした。どちらへいらっしゃるんですか、と聞いたがそれは教えられないらしい。トードはフォーゲル卿とエアリアにもあいさつしたいようで、館へ入っていった。フェイが案内して、ウェルとマイも着いて行った。途中でトード達は火の巫女サーラを見つけて驚いていた。トードはフォーゲル卿とエアリアにあいさつした後、すぐに旅立って行った。マイはフェイやサーラ、エアリア達と話をした後、フェイに屋敷まで送られて帰った。トードは去り際に、マイとフェイのことをお願いしますとウェルに言った。


「特にフェイは無茶をするので。騎士に勇気が必要なのは確かですが・・・ 私達の師匠だった風の賢者セトが殺されて、事態は極めて深刻です。風の国が滅ぼされるような事態もあり得るのです。でもあなたが無事だったことは良かった。これで何とかなるかもしれません」


 ウェルは期待の大きさに自分の実力がどう考えても伴ってなさそうなことに不安を覚えていた。だがトードはそれもわかっていたようだ。


「心配はいりません。あなたに充分な力があることはわかっているのです。いずれ使いこなすことができるでしょう。結局どれ程の力を持っていても、コントロールするのはその心です。あなたが人の世の正しさと、四神の御心みこころと共にあることを」


 トードが去ってマイが帰った後に、フェイはトードについて教えてくれた。国きっての秀才で、魔法のポテンシャルも桁外れの超人らしい。正直そこまですごい人と思っていなかったので意外だった。空前絶後の逸材だったが、賢者セトは弟子にしたものの、賢者の後継者ではなく、ずっと空席の勇者に任命してしまった。


「今思えばお師匠さんは、こんな事態になることがわかっていたのかもしれないね。トードこそ、この国の軍事力のほぼ全て。世界を救う知恵も持ってるのかもしれない。風の国の最後の切り札だね」


 風の賢者セトは、勇者トードや巫女マイ達の師匠であるだけでなく、フェイの魔法の師匠だった。トードはそんなにすごい魔力をもっているのか、と聞くと、僕が十人いても魔力じゃかなわない、ということだ。その感覚がウェルはよくわからない。どうやって量っているんだろう。フェイはそれを聞くとあきれたように首を振っている。なんだか不安だと言わんばかりだ。


「しっかりしなよ。剣も魔法も、いくら技術や力があったって、本人に戦う気がなくっちゃ何の役にも立たないんだからねぇ」


 ウェルがついあやまると、フェイは少し困ったように笑って、あやまらなくっていいんだよと言った。


 魔法使いは自分の魔力を基準に、ある程度相手の魔力量を量ることができる。極端な差がある場合、魔力の少ない方は、多い方がどれ程か量ることは難しい。多い方は逆に少ない方の魔力は量り易い。魔力の探知能力と、魔力量は相関関係があるためだ。さらに言うなら、強大な魔力を持つ者ほど、自身の魔力量をより巧妙に隠蔽いんぺいできるようだ。ウェルもそういった理屈は座学でわかっているのだが、この時点でフェイの魔力がどの程度なのかも良く見えていない。ウェルのように急激に魔力量が増えたためか、使いこなせていないケースというのは例外的だ。エアリアの即席魔力強化法は、普通は危険なのであまりやらない。この時期ウェルの魔力量は通常あり得ない速さで増加していた。


 フェイはウェルほどの魔力があれば、トードがどれ程の魔力かわかるだろうと思っていた。ウェルは自分の魔力がどの程度なのか自覚もない。フェイはウェルが既に自分より強い魔力があることは見抜いていた。他の属性の賢者がフェイより魔力が多くても、それはあたりまえのことだし、特に口には出さなかった。フェイも実はトードの魔力量がどれ程か、あまり精確にはわかっていない。自分が魔力でできることと、トードがこれまでにやってきたことをかんがみて、十倍はあるだろうと思っているに過ぎない。フェイの数倍、トードの何分の一か、と踏んだ。ウェルの潜在能力までは見えていない。エアリアやトードの魔力に追いつき、追い越そうとしていることも。


 ウェル達はフォーゲル邸で、短い期間だが楽しい日々を過ごした。


 会議の期日は一週間後だったが、参加者がそろい次第始めるらしい。あとは水の国と地の国。地の国は重症を負った賢者は欠席、地の騎士がやってくるらしい。水の国はやはり水の騎士が来る。水の騎士一行がフォーゲル邸を訪れたのは、トードが去った三日後だった。


 相手の魔力量をどのように推定するのか、という説明をどこかに入れたいと考えていたのですが、この話に入れることにしました。魔法使い同士の戦いは、特に空の魔法の場合、魔力量で決まるのですが、それをお互いにどう量っているかという難しい部分です;一応本作の登場人物の相対的な魔力量は大体決まっているのですが、某世界的人気漫画のように、後で色々と矛盾の出てきそうな危険なところだと思います;


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