種——ポケットの硬貨と壁の面
その夕方、私たち三人は一緒に校門を出た。夕日が影を長く伸ばし、三つの影がアスファルトの上に重なる。本多の肩の上の星の光の小人は三つになっていた。一列に並んで座っている。
ポケットの中の硬貨に触れると、温かい。刻みがもう一つ増えている。小さな三日月だ。明らかに夏目が彫ったものだ。彼女はお礼だと言って硬貨を私に返してくれた。
コンビニを通りかかると、店員が入り口で煙草を吸っていた。私たちを見つけて手を振る。
「指輪のデザイン、決まったか——」
店員が夏目に向かって叫んだ。
「決まったよ、シルバーにした」
夏目も手を振って応える。
「ちょっと待って、結婚するの?」
本多が二人の会話に戸惑いながら、夏目に尋ねた。
「違うよ。店員の婚約指輪選びを手伝ってるだけ」
説明が終わると、私たちはまた歩き始めた。街灯が次々と点灯し、光の輪が一列に並ぶ。本多が真ん中を歩き、キャンバスを脇に挟んでいる。足取りは軽く、彼の肩の上の星の光がかすかに揺れている。
家の前で本多は私たちと別れた。彼は左に曲がって路地に消えた。夏目と私はもう少し歩いた。
「これからどうするつもり?」
夏目が尋ねた。
「学校に通い続ける。それからこの能力に慣れていこうと思う。面をつければ全ての悩みが見えるけど、外しても一部は見える。スイッチのオンオフを覚えたいんだ」
「慣れるよ。僕が半妖であることに慣れたし、人間になることにも慣れたようにね」
彼女が足を止めた。家の前に着いていた。
彼女の家の前には金木犀の木が植えてあり、枝葉が街灯の下に斑模様の影を落としている。家に入る前に、彼女はポケットから狐の面を取り出した。
彼女はもう一つ持っていたのか? それは私に渡したものと全く同じだが、色が少し濃く、使い込まれた感じがした。
「これもあげるよ。予備用に」
私はそれを受け取った。陶器の表面に小さなひび割れがあった。
「ありがとう……」
彼女がドアを押し開けて中に入ろうとした時、ドアが閉まる前に振り返って私を見た。
「明日、ラーメン屋でね」
そう言ってドアが閉まった。
私は金木犀の木の下に立ち、二つの面と一枚の硬貨を手に持っていた。夜風が吹き、葉っぱがざわざわと音を立てる。空を見上げると、雲が少し切れて、数顆の星がかすかに見えた。暗い星だが、確かにそこにある。
自分の肩を見下ろした。空っぽだ。何もない。
ほっとして、私は家路についた。静かな通りに足音が響く。
それから三日が経った。
本多の画集は七枚になった。一枚一枚が星空で、色合いも少しずつ違う。彼の肩の上の小さな人形の星の光は五つになり、二列に並んで座っている。毎日一つずつ増えていった。本多が一枚描き終えるたびに、学校中に漂っていた古い願いが彼に引き寄せられ、彼の星の光に溶け込んでいくからだ。
夏目は普通に学校に通い始め、部活動にも参加し、クラスメイトとドラマやアイドルの話をするようになった。廊下で私に会うと、以前のような二人だけに分かる合図ではなく、普通の同級生のように挨拶をする。
一方私は、狐の面をつけて学校中のあらゆる場所を歩き回り、みんなの悩みを記録していた。
校門の守衛さんは、遠くに嫁いだ娘からなかなか電話がかかってこないのが悩みだ。彼の肩には灰色の雲のような塊が浮かんでいる。国語の先生は、最近飼い猫がご飯を食べないのが悩みで、彼女の肩には青い猫の形をした影が蹲っていて、尻尾をだらりと垂らしている。三年生の先輩は大学志望が決まらず、頭上に回転する疑問符が浮かんでいる。
それらを全てスマホのメモ帳に記録して、夏目に送信した。
【妖力の変換は完了した。でももう人間になったから、これらは必要ない。でも続けて書き留めておくといいよ。日記代わりに】
スマホをオフにした。
今日の美術の授業で、本多は特別な星空を描いていた。星の群れが一つの顔の形を成していて、目を細めて笑っている。その絵の隅に一行の小さな文字が添えられていた。
「願いを見つけた人へ」
私は本多に言わなかった。あの絵の星空の中に、一粒の極めて小さな金色の種が、密かに芽を出そうとしていることを。
それは彼が描き出したものだ。あるいは願い自身が生み出したものかもしれない。私には分からない。
しかし確かなことがある。彼が画集を一年分描き終えた時、あの星空は新しいものを咲かせるだろう。花かもしれないし、灯りかもしれない。あるいは別の願いかもしれない。どれにせよ、それは輝くだろう。想われたすべての思いのように。
硬貨を空に投げた。何度か回転して落ちてくる。私はそれを受け止め、金属の面が手のひらに触れる。温かい感触が少しだけ心を落ち着かせた。
明日もまたラーメン屋に行く。夏目が今回はご馳走すると言っていた。人間になって一週間の記念だそうだ。本多は新しく描いた星空を店の主人に見せるつもりでいる。
家のドアを開け、二つの面を机の脇のフックに掛けた。
窓の外がだんだんと夜の色に染まっていく。無数の細かな光点が地面から立ち上るのが見える。何千もの家々の窓から、街路から、林の中から、ゆっくりと上昇し、夜空に流れ込み、まばらな星々の中に溶けていく。
それらは願いであり、悩みでもある。それらはもともと一つのものの両面で、コインの表と裏のように。
私は明かりを消し、暗闇の中に横たわった。面の目の穴が月明かりの下で二つの光点を放っている。
目を閉じると、あの形たちがまた浮かんできた。枯れ葉、星の光、泡、猫の影、太陽、疑問符、そしてもっとたくさんの、色とりどりの形が。
しかしそれらはもう私を不安にさせず、疲れさせもしなかった。ただそこにあるだけだ。
そして私はこれからも歩き続けるだろう。一枚の硬貨と二つの面、そして空っぽの自分の肩を持って。
私には、それで十分だった。




