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元No.1キャバ嬢、悪役令嬢になる ~処刑ルートですが交渉術で全部ひっくり返しますわ~  作者: 早乙女
婚約破棄→処刑ルートの悪役令嬢~元キャバ嬢なので外堀から潰して殿下とヒロインをざまぁいたしますわ!~
7/10

7話 新たな火種

「お見事でした。サブリナ様。」


「ありがとう、ノアイユ伯夫人。」


あれから数週間、私はフローラ暗殺の濡れ衣を晴らした。

当のフローラは罪にこそ問われなかったものの赤っ恥をかき、当然殿下との婚約は破棄。

今は自室に引きこもってしまったとか。


「しかしサブリナ様、フローラ様のサイン付きの手紙なんてどうやって……。」


「ふふ、以前あなたを通してフローラに私の首飾りを買い取らせたことがあるでしょう?」


「は、はい。」


「あの時フローラがサインした紙に、薄く別の紙を貼っておいたのです。剥がせば医者からの偽のメッセージが現れる仕掛けでしたわ。

多少の不自然さはありましたけれど……あの子、首飾りに気を取られてまるで気づきませんでしたわね。

本当は本物の医者の書状を用意したかったのですが、フローラがどこかの田舎に逃がしたのでしょう。流石に処刑までに見つけ出すことは叶いませんでしたわ。」


上手くいってよかった、と紅茶を口に含む。


「娘に証言をさせたのは?」


「フローラの性格を考えると、すでに周りをいびってる可能性がありますの。相手に考えられるのは、昔から親しいというベラドンナ嬢。初対面の方と打ち合わせしても失敗する可能性が高いから、フローラへの不満を吐き出すようにお願いしました。聴衆に疑念を抱かせられればそれで良かったのです。」


ノアイユ伯夫人はほう、とため息をつく。


「サブリナ様。あなたはとても聡明な方ですわ。一人で脱獄から自分の名誉挽回まで……あなたが男性であれば、必ずや歴史に名を残してたに違いありませんわ。」


なんだか残念そうに俯くノアイユ伯夫人。


「ノアイユ伯夫人、勘違いなさらないで。」


「え?」


紅茶のカップをそっと置く。


「私は少し人心掌握に長けているだけですわ。そりゃ公爵令嬢として恥じない教育は受けましたけど、政治に携わりたいなんて思ったことはありませんし。

私は私のままで生きたいのです。本を読んで、お父様の仕事を手伝って、紅茶を飲んで。それで十分ですわ。」


本音ですわ。国の管理なんて面倒ですもの。

ノアイユ伯夫人は勿体ないとでも言いたげに眉を下げる。


「ノアイユ伯夫人。」


「は、はい。」


にこり、と微笑む。


「また何かあれば、よろしくお願いしますわね。」


「!は、はい!ありがとうございます!」


その後時間が来て、ノアイユ伯夫人は馬車で帰っていった。

これでノアイユ伯爵家はポリニャック家とコネができた訳ですし、もちろんお父様にもよきに図らうよう伝えてありますわ。

私ができるお礼なんて、こんなものですが。


「サブリナ。」


「はい。」


お父様から呼び出しがかかる。


「よくやったな。お前は自慢の娘だ。噂が噂を呼んで縁談はひっきりなしに来るぞ。」


父は誇らしげに笑う。


「ありがたき幸せ。サブリナはお父様に従いますわ。どうぞお父様の駒になる方の元へ。」


「あー、それなんだが。」


あら?なんだかお父様が目を逸らして頬をかいている。


「この家の跡取りは1番上の兄だったろう。」


「はい。」


「それが、お前が連れていかれてから心労で倒れてな。今は郊外で療養中なのだ。」


「そ、それはご心配をおかけして……。」


「医師からは回復時期は不明だと言われている。」


えーと、お父様は何を仰りたいのかしら。


「つまり、あー、オホン。お前には婿を取り、このポリニャック家を継いで欲しい!」


……。


「は?」


間の抜けた声が出てしまう。

ポリニャック家を継ぐ……? 私が?

頭の中で何度か繰り返して、ようやく意味が追いつく。


「何をどうしたら、そうなりますの!?」


「サブリナ、お前は本当に優秀だ。父として誇らしいよ。」


――押し切ろうったってそうはいきませんわよ!


「その聡明さと度胸、この家を継ぐに十分だ。安心して任せられる。」


「2番目の兄上もいらっしゃるではありませんか!」


「あれは王家の親戚に婿に行ってしまってなあ……。いやあ、困ったものだ。」


全然困ってる顔ではありませんわね!?


「で、では姉上たちが……。」


「皆、良い縁に恵まれて嫁いでいっただろう? 父としては嬉しい限りだ。」


――詰みですわ。


「サブリナ。お前ならきっと、この家をさらに良くしてくれる。」


にこにこと満面の笑みで言い切られる。

この人、完全にその気ですわ……!

聞いておりませんわよ、そんな話!

ショックでふらりとよろめいた。

家を継ぐなんて、冗談ではありませんわ……。

お父様の勧める家に嫁ぎ、穏やかに、悠々自適に暮らすつもりでしたのに!




私はサブリナ。前世はキャバ嬢。

微笑みひとつで男も金も欲しいままにしました。今世でも人心を掌握し、地獄から舞い戻ってまいりましたわ。

もう欲しいものも特にないから隠居したいのに、まだまだ平和な日常は送れそうにありませんわ。

何せ――明日だけで、三件も縁談が入っておりますもの。


第一部~完~


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― 新着の感想 ―
サブリナちゃぁぁぁぁぁん なかなか上手くは行かないねぇぇぇえええ(´;ω;`)
すごく面白いです。70年台のポップカルチャーが小説になったみたいです。好きです。 このエピで「ノアイユ伯爵家はポリニャック伯爵家とコネが出来た訳ですし〜もちろんお父様にもよく逆らう様に伝えてありますわ…
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