3話 騎士を味方にして王宮へ
「子供が中にいるんです!どうか中へ!」
「ならん!乞食風情が!去れ!」
今日も門前払い。しかしこれでいい。
——想定通りですわ。
3話 騎士を味方にして王宮へ
王宮は月に1度、一部の区画を市民も入れるように解放していますわ。
足繁く通えばいつかは潜入も叶いますが、あいにく私には時間がありませんわ。
となると、少し強引ですが利用して見張りを落としますわ。
何度も何度も王宮へ足を運んだ。雨の日も、風の日も。一ヶ月ほどで、見張りの態度が変わり始めた。
「悪いけどマダム、我々も時間があればあなたの言ってる子供を探してるけど、見つからないよ。」
崩れましたわね、牙城。
「人見知りな子なんです。きっとどこかに隠れて泣いてますわ。」
しくしくと涙を流す。
「な、泣かないで。あ、ハンカチ。」
「あ、ありがとうございます。」
見せつけるように涙を拭う。私ほどになれば涙などいつでも流せますわ。フローラのような雑魚とは違いますの。
「いつもお手数おかけして申し訳ありません。これ、皆様に差し入れですわ。」
バスケットに入ったサンドイッチを差し出す。
「え、いいんですか!?」
「ふふふ、もちろん。」
「で、ではおひとつ……。」
騎士はきょろきょろと周りを伺い、サンドイッチにかぶりつく。
「お、美味しい!料理上手いんですね!」
「ふふふ、ありがとうございます。」
当然、私の手製ではありませんわ。街で評判のサンドイッチを買って、バスケットに詰めただけですわ。熱をあげた殿方には案外効きますのよ。
「皆も喜びますよ!お子さんは全力で探します。で、出来れば明日も……。」
「もちろんですわ。」
騎士は完全に頬を赤らめてますわ。仕上げのときですわね。
そこから1週間、私は王宮通いを辞めた。
メイクで痣を作って見張りの前へ。
「ま、マダム!心配してたんですよ!ど、どうしたんですか?その痣!」
食いつきましたわね。
「出稼ぎから帰った主人に子供がいないことを詰められて……このままだと私、殺されてしまいますわ!」
騎士は困惑する。周りをようく見渡すと。
「マダム、こちらへ。」
騎士は私を引き連れて、王宮の裏口へ。
「ここから王宮に入れます。」
「そんな!バレたらあなたもただでは……。」
「ええ。分かってます。しかし、あなたは不思議だ。お若いのに田舎のかあさんを思い出す。だから、子を思う母を見捨てるなんて出来ないんです!」
狙い通りですわ。
「ありがとうございます!すぐに戻りますわ!」
「ご武運を!」
騎士の敬礼を背に、王宮に潜入する。
よし、1番難しい関門は抜けましたわ。次はお父様に接触——ここからが本番ですわね。
サブリナ処刑まであと30日。




