2話 処刑まで90日、見張りを落とす
ガシャン。
「処刑の日まで大人しくしているように」
私は投獄された。処刑まで、あと九十日。
ここからが腕の見せどころですわ。
2話 処刑まで90日、見張りを落とす
「なあ、あれ本当にサブリナ嬢か?」
「はあ?何言ってんだよ。本人だよ。」
「でもさぁ、噂によるとサブリナ嬢は鉄仮面みたく冷たくて、下の人間は虫けらとしか思ってないって聞いたぜ?」
ふふふ、投獄されて二週間。効果が出てきましたわね。
ここに来てから私は徹底的にしおらしく振る舞った。
懺悔を装い、聖書を読み、給仕には感謝と微笑みを欠かさない。
おかげで本来のサブリナ嬢の印象は崩れつつある。
——あとは、この見張りを落とすだけですわ。
「あっ。」
櫛を牢屋の外へ落とす。
「すみません、拾ってくださいませんか?」
見張りは頬を赤らめて、櫛を拾い手渡す。
「ありがとうございます。大事なものですの。」
櫛を胸に抱えて、柔らかく微笑む。
「サブリナ嬢は、どうして、その、処刑なんか……。」
計画通りですわ。
「ええ、殿下の怒りを買ってしまいましたの。殿下は以前から私が嫌いでしたもの。」
伏し目がちに返す。
「そんな、サブリナ嬢はこんなにお優しいのに!」
「ふふふ、ありがとうございます。」
もう一押しですわね。
「でも、こうなった今殿下とお話することも敵いませんの。」
しくしくと泣き真似をする。
「我々がここからお出しします!」
来ましたわ。
「そんな!ダメですわ!分かったら殿下からどんな仕打ちを受けるか……。」
「交代で私たちの中から代わりを立てます。もし殿下がいらしても問題ありません。だから、その間にどうにか王宮へ。我々にはそれしかできませんが……。」
「……ありがとう。私は、とても良い人達に出会いましたわ。」
これで、盤面は動きましたわね。
サブリナ処刑まであと70日




