1話 婚約破棄、逮捕、そして逆転へ
2026/4/22
シャルル(王太子)→ジョセフ
に変更
「サブリナ!侯爵令嬢暗殺の容疑で逮捕する!」
その瞬間、前世の記憶が流れ込んだ。
男を転がし、客を掌で踊らせるナンバーワンキャバ嬢だった頃の記憶。
——なら、この程度の連中、外堀から潰してやりますわ!
「ふええ……ジョセフ様、わたくし本当に怖くて……」
目の前で殿下に寄りかかる、猫を被った女。フローラ。
——ああ、なるほど。そういう手口ですのね。
涙が出ていないことくらい、見れば分かりますわ。ずいぶんと安い芝居ですこと。
「よしよし、怖かったな。フローラ」
殿下がこちらをキッと睨む。
「お前との婚約は破棄する!」
「私はフローラと結婚する!」
舞踏会会場がざわめいた。
「いくら殿下でも公爵令嬢の婚約破棄はやりすぎじゃないかしら?」
「あーら、当然よ。ポリニャック嬢がアルベール嬢の飲み物に毒を入れた事件をお忘れ?」
——なるほど、そういう筋書きですのね。
わざわざ教えてくださって、感謝いたしますわ。お喋りな夫人方。
「処分は追って連絡する。本来なら投獄するところだが、ポリニャック侯の顔を立てて自宅謹慎だ」
殿下はフローラと共に扉の奥へ消えていった。
舞踏会場は一瞬の静寂の後、何事もなかったかのようにざわめきを取り戻す。
——このままでは死にますわね。
一晩で三百万を稼いだ女を、なめないことですのよ。
ならば、この状況すら利用して。
あの二人、外堀から徹底的に潰して差し上げますわ。




