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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第四章 茶室への招き

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40/71

40 人間、人に良いことをしてやることよりも、恨まれないことの方が重要だ



          (2)



 場面は変わって。

 場所は、不確定なのだが、とりあえずソウル市内というのだけは確定のこと――

 というのも、移動中のことなのだから、多少は仕方ない。

 くだんの、SPY探偵団メンバーの“ジグソウ・プリンセス”ことパク・ソユンだが、車に乗せられていた。

「……」

 と、目隠しなどはさせられてはいないが、もちろん、手枷足枷をされた状態。

 パク・ソユンは上座に座らせられ、ジッ……と、無言で佇んでいた。

 その格好はというと、部屋にいた時の、少々ラフなスタイルから衣装は変わっていた。

 DJ動画の際と同じように、白のエレガントかつ清楚、かつ若干セクシーな肩出し衣装。

 また同じく、ワンポイントで目を引く、白のカチューシャ、とーー

 それこそ、まるで、何か格式ある晩餐会やティーパーティに招かれた賓客のように見えなくもないだろう。

 そうであるーー

 パク・ソユンは先ほどの、部屋に仕込まれたスマホからの呼び出し (人質を伴ってであるが――)に応じたのだ。

 そして、“主催者”の従者らに用意された車を、何回か乗り継ぎ、また、着替えるなどしつつ、主催者の待つ茶館に向かっている (拉致されている)最中だった。

 なお、その従者のうちの一人だが、まるで昔の朝鮮王朝の通信使のような服装をしている体格の良い男が、細い目をしながら、パク・ソユンの隣の席でジッ……、と佇んでいたが……

 そんな中、

「……」

 と、パク・ソユンは再び、ジッ……と、不自然にならない程度に、辺りを見渡してみる。

 状況を整理、確認する。

 まず、この、車をいくつか乗り換えたりしているのは、恐らく、追跡から撹乱するためだろうか。

 すると、この“茶会”の連中というのは、一応はSPY探偵団の能力を過小評価はしていないのかもしれない。

 まあ、とはいえ、今の状況では“アイツら”に発信することはできないし、隙をついて逃げるのも、なかなかに難しい状況だ。

 まあ、ここにいる相手なら、自分の力で相手にすることもできなくもない。

 ただ、隣の、通信使らしき衣装の男は、少し厄介化もしれないが……

 ーーと、そこまで考えたところで、


「(まったく、アイツら……)」


 と、パク・ソユンは、また別の“アイツら”に対し、つい口に出してしまいそうになった。

 すなわち、人質となった、仕事仲間のふたりのことだ。

 今、カン・ロウンたちに自身の居場所を発信することも、逃げることも、この車にいる従者たちを倒すことのいずれもできない原因は、全て、“そこ”に集約する――

 もし自分が、いま並べた選択肢のどれかを行おうとするのであれば、まあ、この車にいる従者らが自分を制圧しにかかってくるのはもちろんのこと――、それと同時に、人質に取られている仲間ふたりに対し、即座に拷問が実行されるだろう。

 恐らく、例のギンピギンピなどを用いた――、“自分なら”耐えられるかもしれぬが、常人である彼らには耐え難い苦痛・激痛を伴う拷問が――

「……」

 パク・ソユンは、続けて思う。

 そうだからこそ……、何だかんだで、自分が逃げてしまうことで、彼らに凄惨な苦痛を与えられるのは、気の毒というかーー

 いや、むしろ、“そのこと”で自分が恨まれても、めんどくさい。

 人間、人に良いことをしてやることよりも、恨まれないことの方が重要だーーと、自分はどちらかというと、そう思うからだ。

 そのように、パク・ソユンが思考していると、

 

「――着きましたよ」


 と、前の、運転席もしくは助手席から、告げる声がした。

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