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02 【激痛茶館】  作者: 非常口どん八
第六章 茶室への招き

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39 はい、もすもすカメよ

 沈黙を破って、マー・ドンゴンが、

「まあ、確かに、推測と言えば推測なんだろうが……、人質を取って脅迫したうえで、パク・ソユンを拉致したと仮定するなら、犯人側が“そうする”のは、自然なことかもな」

「ええ……、可能性として、あり得なくもないですしね」

 と、チャク・シウも、うなづいて同意する。

 そのようにして、

「分かったよ。協力してやるよ、ロウン」

「おおっ……! すまない、マーさん」

 と、カン・ロウンは、マー・ドンゴンに感謝した。

 しかし、

「ただ、協力するとは言ってもな……、俺たち、ソウルの警察のリソースを、すべて、お前たちに使ってやることはできない……。それに、いまから、パク・ソユンを助けてやるのに、間に合うのか……、保証はできない」

 と、マー・ドンゴンが念のため、厳しいことを告げる。

「……」

 チャク・シウと、

「……」

 と、キム・テヤンが、無言で固唾をのむ中、

「それは……、確かに、マーさんの言うとおりだ」

 と、カン・ロウンは、そこは覚悟した。

 そもそも、この茶会の案件の調査を開始してから――、まあ、カン・ロウンたちSPY探偵団のメンツがダラダラしていたこともあるにせよ、満足な情報や手がかりなど、あまり掴めていない段階なのだ。

 そんな状況で、はたして、いまから迅速にしてパク・ソユンを追跡し、救出することができるのか――? 

 そう問われると、確かに、厳しいと言わざるを得なかった。


 …………、…………


 場に、ふたたび、沈黙がただよう中、

 ――スッ……

 と、カン・ロウンは、スマートフォンを、ゆっくりと手にとっていた。

「あ、ん……?」

 マー・ドンゴンが反応し、

「おい? どうした? ロウン」

 と、キム・テヤンが聞いた。

 カン・ロウンは、答える。


「妖狐に、依頼を――、……いや、“助け”を求める」


「“妖狐”、だと……?」

 と、妖狐なる言葉を聞いて、マー・ドンゴンが怪訝な顔をし、

「……」

 と、チャク・シウも無言ながら、ゆるり……と、カン・ロウンの顔を見た。

 その間も、

 ――カラン、コロン♪ カランコロン♪

 と、カン・ロウンのスマホはすでに、妖狐へと発信していた。

 ただ、

 ――カラン、コロン……♪ カランコロン♪

 と、着信音がするばかりで、しばらくしてもつながる気配はない。

「つながらない、か……」

 カン・ロウンが、あとでかけ直すしかないと、諦めようとした。

 刑事のマー・ドンゴンたちと、妖狐の力に、一縷の望みを賭けようとした。

 刻一刻と緊迫する状況の中、期待と焦りが入り混じながら、焦燥感と諦観に飲まれそうになる。

 そのとき、



『――はい、もすもすカメよ♪』



 などと、若干ふざけた様子で――、何と、妖狐の神楽坂文が電話に出た。

「……お久しぶり、ですな。タヌ、キツネさん。SPY探偵団の、カン・ロウンです」

『何だ? ロウンか。というか、いま、タヌキと言いかけただろ? 貴様?』

「い、いえ。そんなことは」

『ふむ? そうする、と……? 貴様だな? 先日の、時差で出たクシャミの原因は』

「クシャミ、ですか……? ああ、確かに、昨夜、貴方のことを――、神楽坂さんのことを、話題にしましたね」

 と、カン・ロウンが思い出すと、

『――で? 何のようだ? 貴様たち、韓国の変人探偵団が』

 と、妖狐が、要件を尋ねる。

「すまない。依頼が……、――いや、大至急、助けてほしいことがある」

『ほう……』

 と、重い様子で話すカン・ロウンに、妖狐は続きを聞く。

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